2012 Fiscal Year Annual Research Report
微視的ビーム誘起発光測定による核融合環境下セラミック特性変化の研究
Project/Area Number |
23760815
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Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
田中 照也 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (30353444)
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Keywords | カソードルミネッセンス / セラミック / 核融合炉 |
Research Abstract |
H23年度に走査型電子顕微鏡に設置した電子ビーム誘起発光測定システムを用いて、電気絶縁・水素燃料透過抑制被覆の候補材であるEr2O3、CaZrO3、Y2O3、AlN、燃料増殖候補材であるLi2CO3、Li2ZrO3、Li2TiO3、Li2O、Flinak、及び、中性子遮蔽候補材であるB4C等、核融合炉用セラミック機能材料の発光スペクトルと強度に関する基礎データの取得を行った。同じ材料であっても入手先により、結晶性や不純物に起因すると考えられる発光スペクトルの違いが観測され、試料の初期状態を確認する観点からも重要な測定手法になり得る。電子顕微鏡の電子ビームは、~1μm以上の空間分解能を保ったまま、0.1-40nAと2桁以上の範囲で調整可能であり、発光強度が低下する結晶性が悪い試料についても概ね10秒の測定時間でスペクトル取得ができることを確認した。 高い空間分解能、及び、結晶性と発光ピーク波長・強度の関係をEr2O3、Y2O3等のセラミック被覆の評価に適用している。μmオーダーで生じた亀裂内部や周辺の組成・結晶状態の分析を短時間に的確に行え、また、被覆焼成時の温度均一性向上の必要性が認められる等、大面積セラミック被覆開発研究に大きく寄与している。 中性子遮蔽材料であるB4Cについては、照射損傷を模擬する目的でイオンビーム照射を行った。照射後の試料では、電子ビーム誘起発光ピークの長波長側へのシフトが見られ、本手法が遮蔽材料研究にも有効であることを示した。また、電子ビームエネルギーを変化させることで、損傷が生じる深さに関する情報が得られることも確認した。その他、溶融塩中で窒化処理した耐食被覆の窒化物層分布の分析やLi2CO3粉末中の結晶状態分布をμmオーダーで取得し、核融合炉環境下におけるセラミック機能材料の特性変化を、高空間分解能でとらえる非常に有効な手段となることを示した。
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Research Products
(2 results)