2013 Fiscal Year Annual Research Report
溶質集合体-照射欠陥相互作用の実空間解析によるステンレス鋼の照射硬化機構の解明
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23760822
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
外山 健 東北大学, 金属材料研究所, 講師 (50510129)
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Keywords | 照射損傷 / 微小析出物 / 3次元アトムプローブ / 国際研究者交流 |
Research Abstract |
最終年度である平成25年度は、ベルギー・BR2炉の加圧水型原子炉模擬照射装置(CALLISTO)を用いて中性子照射された304ステンレス鋼を調べた。ニッケル-シリコン析出物が多数観察され、その数密度は、透過型電子顕微鏡で観察されたニッケル-シリコン析出物の数密度よりも一桁近くも高かった。すなわち、透過型電子顕微鏡では観察されなかったごく小さなニッケル-シリコン析出物が多数存在することが明らかになった。また、空孔や空孔-溶質複合体を、陽電子消滅(陽電子寿命測定、同時計数ドップラー広がり測定)実験で調べた。これらの結果を、昨年度までに得たデータと合わせて、ステンレス鋼の研究で広く用いられるOrowan硬化モデルに適用して、ステンレス鋼の照射硬化を予測し、実験値と比較した。その結果、透過型電子顕微鏡では観察されなかった微小のニッケル-シリコン析出物が、照射硬化に大きく寄与していることを定量的に解析できた。 以上の析出物と転位ループとの位置関係を検討した結果、中性子照射量が十分大きい段階では、析出物は転位ループ以外のサイトでも形成していることが分かった。一方で、照射の初期段階では、析出物の前駆体と思われる溶質原子集合体は、転位(ループ)と思われるサイトに優先的に存在する可能性が示唆された。
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[Journal Article] Effects of post-irradiation annealing and re-irradiation on microstructure in surveillance test specimens of the Loviisa-1 reactor studied by atom probe tomography and positron annihilation2014
Author(s)
Toyama, T., Kuramoto, A., Nagai, Y,. Inoue, K,. Nozawa, Y,. Shimizu, Y,. Matsukawa, Y,. Hasegawa, M,. Valo, M.
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Journal Title
Journal of Nuclear Materials
Volume: in press
Pages: in press
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