2011 Fiscal Year Research-status Report
レーザー駆動粒子線による高線量率照射の生物効果に関する研究
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23760831
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
余語 覚文 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究職 (50421441)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 高強度レーザー / レーザー物質相互作用 / レーザー粒子加速 / 放射線生物効果 |
Research Abstract |
本研究課題で開発を目指すレーザー駆動陽子線による生物照射装置において、照射効果をより正確に評価するためには、陽子線を生体サンプルに照射しながら同時に照射線量を測定できる透過型の検出器が必要不可欠となる。そこで今年度では、レーザー駆動により発生するイオンビームの線量とパルス時間幅を測定できる手法として、厚さ0.5mmのシンチレータのサイド面からイオン検出信号を波長変換ファイバーを用いて読み出す検出器を新規に開発した。この検出器は兵庫県立粒子線医療センターに設置されたシンクロトロン加速器からの陽子線(80 MeV)による照射試験を行い、時間波形測定の動作確認に成功した。 また、レーザー駆動イオン照射による生物応答研究に関して得られた成果をまとめて、原著論文1編[A. Yogo et al., Jpn. J. Appl. Phys. 50 (2011) 106401]、レビュー論文1編[余語覚文 J. Plasma Fusion Res. 88 (2012) 25]、国際会議における招待講演1編[SPIE Optics + Optoelectronics 2011, Apr. 18-21, 2011, Prague, Czech Republic]、国内学会での口頭発表2編(原子力学会、日本物理学会)において発表を行った。また、レーザー駆動イオン加速機構に関する研究でレーザー学会業績賞(論文賞)を受賞するとともに、レーザー駆動イオン加速とその生物応用研究で日本物理学会若手奨励賞を受賞した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
透過型線量検出器を独自のアイデアにより開発してイオン照射試験を実施することができた。また、2編の論文発表、3件の口頭発表等を通じて順調に成果を発表することができた。その一方で、生物照射装置において使用する陽子線エネルギー分別磁石装置の開発が遅れているが、来年度に繰り越した研究費を用いて製作することが可能であると考えている。以上の状況から、研究の進捗はおおむね順調であると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きレーザー駆動陽子線生物照射装置の開発を継続する。陽子線エネルギー分別磁石装置の開発を完了し、今年度開発した透過型線量検出器を設置することで、照射装置全体の完成を目指す。また、レーザー駆動陽子線の線量、エネルギー、ビーム空間分布に関する安定性の評価を実施し、生物照射実験の実施できる状態を実現する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度から繰り越した研究費については、陽子線エネルギー分別磁石装置の開発に使用する予定である。その他には実験消耗品として、シンチレータ、光電子増倍管、飛跡検出器等のイオン検出器関連物品に使用する予定である。
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