2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23760833
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
藤田 博喜 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 東海研究開発センター核燃料サイクル工学研究所放射線管理部, 研究員 (20446446)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | パルス光励起蛍光 / 線量 / 石英 / 神社 |
Research Abstract |
平成23年度は、研究実施計画に従い、(1)パルス光励起蛍光測定装置の開発及び性能試験、(2)茨城県内における表土採取及び石英粒子の抽出を行った。 (1)については、パルス光励起蛍光測定装置(時間間隔解析装置を応用)を購入し、応募者が以前に開発した自動蛍光測定装置に組み込み、パルス光励起蛍光測定が行えるようにした。この装置の性能試験を行うために、オシロスコープを用いて、そのパルスの幅が最小で1μ秒であること(1μ秒から10μ秒で設定可能)、そのパルス間隔が最小で200μ秒であること(200~800μ秒で設定可能)を確認した。その結果、当初計画した装置の性能が得られ、パルス光励起蛍光測定装置を開発することができた。この測定器の開発によって、パルス光励起蛍光測定による線量測定法の開発及びパルス光励起蛍光特性を観測することが可能となった。 (2)については、茨城県内の神社において、26点の表土採取を行い、石英とその他の鉱物を分離した。当初は地層の起源を考慮して採取を行う予定であったが、東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故の影響を受けて、茨城県内全域の線量分布調査を行うことの重要性から、その採取方法を変更した。 さらに、(1)で開発した測定装置を使用して、(2)で採取した石英粒子を用いて、そのパルス光励起蛍光を測定した。その結果、石英粒子由来のパルス光励起蛍光が観測でき、そのパルス幅に応じて、その強度の異なることが分かった。また、パルス間隔200μ秒で、石英からのパルス光励起蛍光は消失しており、当初の装置の仕様が妥当であったことも分かった。 以上のことから、パルス光励起蛍光測定装置の開発、茨城県内における表土採取及び石英粒子の抽出という目的を達成することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、パルス光励起蛍光測定装置の開発と、本装置を用いた線量測定法を世界で初めて実用化し、どこにでも存在する砂利や石材をそのまま利用することで、いかなる場所でも迅速かつ正確に放射線被ばく線量(0.1Gy程度)を測定できる画期的な手法を確立することを目的としている。 具体的には、1)パルス光励起蛍光測定装置を開発し、2)その性能試験を行い、3)表土から石英を物理的に抽出することのない、緊急時の線量測定に極めて適した新しい手法を確立することである。 平成23年度は、1)と2)の一部を実施し、当初予定していた成果をおおむね得ることができた。しかし、論文や学会発表が行えていないことから、現在までの達成度としては、おおむね順調に進展していると評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、パルス光励起蛍光測定法の基礎実験及びその測定法の最適化を図ることを目的とする。 具体的には、鉱物標本の石英及び長石の混合物を用いて、パルス光励起蛍光測定における基礎実験を行う。石英と長石を代表的な火山岩及び深成岩中の混合割合にし、その条件下でのパルス光励起蛍光測定において、石英からのパルス光励起蛍光のみが測定できる条件(測定温度、前加熱温度、光照射時間、検出時間等)を求める。この条件を求める際には、初期条件を設定し、その後、最適化を図る。この最適化においては、平成23年度に抽出した石英及び長石の混合物を使用する。石英からのパルス光励起蛍光のみが検出でき、さらに人工的な照射線量の増加に対してその光励起蛍光強度が比例的に増加する条件を求める。次に、採取した表土そのものにパルス光励起蛍光測定法を適用し、最終的な測定条件の最適化を図る。 平成25年度は、パルス光励起蛍光測定法による検出下限値の評価、実フィールド試験及び本研究のまとめを行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度においては、検出下限値の評価に必要となる「人工太陽照明灯」、光検出に使用する「光電子増倍管」及び「光学フィルター」、鉱物の抽出に使用する「化学薬品」を購入する予定である。また、研究成果の報告のために、学会等参加費及び出張旅費で研究費を使用する予定である。 平成25年度においては、光検出に使用する「光電子増倍管」、鉱物の抽出に使用する「化学薬品」を購入する予定である。また、研究成果の報告のために、学会等参加費及び出張旅費で研究費を使用する予定である。さらに、最終年度であるため、3年間の研究成果報告書を作成するためにも研究費を使用する予定である。
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