2011 Fiscal Year Research-status Report
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23760843
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡辺 健太郎 東京大学, 先端科学技術研究センター, 特任助教 (30523815)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 太陽電池 / 集光型 / 化合物半導体 / 集光光学素子 / 微細加工技術 |
Research Abstract |
III-V族化合物半導体による太陽電池セルと集光光学素子からなる集光太陽電池モジュールの研究開発において、H23年度は主に1.集光光学素子の基礎設計と2.集光用太陽電池セルの開発を実施した。1.集光光学素子の基礎設計について、フレネルレンズと反射鏡を複合した形状の新規光学素子の設計を行った。直径10cmの受光面積に対して、焦点距離を5cm以下で入射光の導入率が85%以上となる最適条件が得られた。2.集光用太陽電池セルの開発において、集光時に増大する電流がもたらすジュール熱損失を低減させるために、セル面積を分割し、多数のサブセルの直列接続による低電流・大電圧の出力が得られる構造を提案し、試作を行った。GaAs単接合太陽電池セルに対して、10個のサブセルの直列構造および、各サブセルに対するバイパスダイオードのモノリシック集積に成功し、出力電流密度を一定に維持したまま高電圧が得られる太陽電池セルを開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
光学素子の開発においては、幾何光学支援ソフトウェアを用いた光学設計により、フレネルレンズと反射鏡を複合させた形状での新規光学素子の設計を実施し、目的となる集光型太陽電池の開発において、光学素子の利用面積に対するモジュール厚さは0.5が得られることが明らかとなった。また、設計の最適化を行った結果から、太陽電池セルに導入することができる光のスループットが85%以上となる構造が得られた。これらは申請時に設定した研究目的の値よりも十分に高い値であり、今年度までの達成状況としては概ね順調である。 さらに、集光太陽電池モジュールに搭載する太陽電池セルに対して、ジュール熱損失を低減するような低電流・大電圧化を目指したモノリシック集積直列多素子化構造を提案し、開発を実施した。現在までの開発において、電流密度を維持したまま10倍の電圧が得られる素子が得られており、さらにバイパスダイオードのモノリシック集積化にも成功している。集光型太陽電池モジュールの集光比率を制限する主な要因はジュール熱の発生に起因するセル内部抵抗の増大であるため、この新規太陽電池セルの開発によって、より高い集光度の集光型太陽電池システムへの見通しが得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
1.集光光学素子の開発について、前年度の設計によって得られた新規光学素子に対して実際に太陽電池セルを搭載した場合を想定した最適化を進め、試作を行う。実験室における光学評価実験を実施し、設計値との差異を見積もる。2.太陽電池セルの開発について、さらなる高効率化のために、前年度の開発によって得られたモノリシック集積直列構造の製造プロセスをInGaP/GaAs2接合セルに応用し、25%以上の変換効率を目標として開発を進める。また、実際の集光動作に伴う大電流を想定した電極の最適化を実施する。3.試作した集光光学素子と太陽電池セルを用いて集光型太陽電池モジュールの試作を実施する。室内実験とフィールドテストによって評価を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
集光光学素子の試作と評価実験用の消耗品を購入する予定である。室内実験およびフィールドテストに要する評価設備は前年度までに購入した物品と、既存の設備を併用することで実施することができる。また、得られた成果の発表のため、国内学会1件、国際学会1件を目安として旅費を使用する予定である。
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Research Products
(3 results)