2012 Fiscal Year Annual Research Report
飢餓ストレス依存的エピジェネティック応答機構とその非メンデル遺伝の解析
Project/Area Number |
23770010
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
成 耆鉉 独立行政法人理化学研究所, 石井分子遺伝学研究室, 客員研究員 (40425632)
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Keywords | ショウジョウバエ / ATF-2 / ストレス / エピジェネティクス |
Research Abstract |
以前、私は、ショウジョウバエATF-2が、ヘテロクロマチン形成に必要で、熱ストレスなどの外部ストレス依存的に、ヘテロクロマチン領域から離脱し、ヘテロクロマチンの崩壊を誘導すること、そして、このストレスによるATF-2依存的なエピゲノム変化が、次世代に遺伝しうることを報告した。そこで、アレイ解析などにより、dATF-2によって 制御されている遺伝子を探索したところ、多数の代謝関連遺伝子が同定された。そこで、本研究では、飢餓ストレスにより引き起こさ れる、代謝関連遺伝子領域における、dATF-2依存的クロマチン制御機構の解析と、その影響が、次世代へも受け継がれていくかどうか を明らかにする事を目標とした。 今回、私は、このATF-2依存的エピゲノム制御機構における、さらなるストレスについて探索した。そうしたところ、栄養ストレスが、ショウジョウバエのヘテロクロマチン状態に影響を及ぼすことを見出し、さらには、この現象がATF-2依存的に起きていることを示唆する結果を得た。さらに、栄養ストレスによる影響の遺伝を調べるため、高栄養培地と低栄養培地で育てた親由来の子供における、遺伝子発現状態を、遺伝子発現マイクロアレイを用いて解析した。その結果、約400の遺伝子発現において、高栄養培地で飼育した親由来の子供での発現上昇が見られ、その多くが代謝系遺伝子であることが明らかとなった。そして、同じ解析をATF-2突然変異体を用いて行ったことろ、発現上昇を示した遺伝子のほとんどにおいて、栄養ストレスによる影響が観察されなかったことから、栄養ストレスによるエピジェネティックな遺伝に、ATF-2が中心的な役割を担っていることが示唆された。
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Research Products
(5 results)