2011 Fiscal Year Research-status Report
クロマチン形成制御可能な次世代HACによる、セントロメア形成機構の解明
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23770011
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Research Institution | Kazusa DNA Research Institute |
Principal Investigator |
中野 めぐみ (財)かずさDNA研究所, その他部局等, その他 (50542825)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 染色体 / セントロメア / ヒト人工染色体 / HAC / クロマチン |
Research Abstract |
申請者はこれまで改変型のセントロメアDNAを細胞に導入してセントロメア構造を持つ安定なヒト人工染色体 (HAC)を作成し、高頻度反復配列であるセントロメアアルフォイドDNA上のクロマチン集合バランスの撹乱がセントロメア活性を阻害することを明らかにしてきた。本研究計画では、集合バランスを撹乱するだけでなく複数のクロマチン構造を人為的に形成し、セントロメア機能構造の制御機構におけるクロマチン集合バランスの役割を明らかにする。具体的には、使用実績のある、配列の一部をtetリプレッサー(tetR)結合配列で置換したアルフォイド (tetOアルフォイド) DNAに加え、同様にlacリプレッサー(lacI)の結合配列を持つアルフォイド(lacOアルフォイド) DNAに、tetRおよびlacIとの融合タンパク質を結合させ、各種クロマチン形成を誘導する。本年度は、改変型アルフォイドDNAの構築を計画していた。申請者らが従来のHAC形成に使用したヒト21番染色体セントロメアのアルフォイドDNAは、約170 bpのアルフォイドモノマーの11回繰り返し (11mer)が、さらに高次に反復している。そこで、改変型アルフォイドをモノマー毎に人工合成し、段階的にライゲーションして11merの構築をすすめ、その途中までが終了した。同様に計画していた、改変型アルフォイドDNAに結合させるlacI融合タンパク質の発現ベクターを構築し、基本となるlacI-mCherry発現ベクターを含む、一部の発現ベクターの構築まで終了した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度は、約60kbの改変型アルフォイドDNAを構築し、細胞に導入、解析までをすすめる計画であったが、それらを達成する事ができなかった。主たる理由には、依頼した人工DNA合成が遅延し、計画の開始が予定より遅れてしまったことが挙げられる。さらに、平成23年の11月頃より申請者の体調が不良となり、24年1月から休職、その後実験を進める事ができなかった。現在、申請者の体調は回復に向かい、24年6月に復帰を予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度における計画の遅延は、主に申請者の体調不良によるものであり、同様の状況は今後は防げると考えられる。今後はまず、23年度に計画していた改変型アルフォイドDNAの構築とlacI発現ベクターの構築を最優先して進める。それと同時に、改変型アルフォイドDNA構築が済みしだい細胞へ導入できるようにするため、NIHのLarionov博士との共同研究により合成された、本計画とは構築が異なるlacOアルフォイドDNAを先行して培養細胞に導入し、lacI融合タンパク質におけるlacOアルフォイドへのクロマチン形成誘導の解析を進める予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の計画通り、DNAクローニングに必要な試薬、DNAを導入する培養細胞用の試薬類に研究費を使用していく予定である。
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