2012 Fiscal Year Research-status Report
クロマチン形成制御可能な次世代HACによる、セントロメア形成機構の解明
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23770011
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Research Institution | Kazusa DNA Research Institute |
Principal Investigator |
中野 めぐみ 公益財団法人かずさDNA研究所, ヒトゲノム研究部, 研究員 (50542825)
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Keywords | 染色体 / セントロメア / ヒト人工染色体 / HAC / クロマチン |
Research Abstract |
ヒト染色体セントロメアの高頻度反復配列であるアルフォイドDNAを細胞に導入すると、安定なヒト人工染色体(HAC)が形成される。申請者はこれまでtetR結合配列(tetO)を挿入した改変型アルフォイドDNAから形成されたtetO HACに、tetRとクロマチン構造変換因子の融合タンパク質を結合させ、アルフォイドにおけるクロマチン集合バランスの撹乱がセントロメア活性を阻害することを明らかにしてきた。本研究計画ではtetOアルフォイドDNAとlacR結合配列(lacO)を持つアルフォイドDNAを使用し、各DNA上に異なるクロマチン構造を人為的に形成させ、クロマチン集合バランスがセントロメア機能構造制御に果たす役割を解明する。 本年度は、引き続き改変型アルフォイドDNAの構築と、それに結合させるtetR融合タンパク質およびlacI融合タンパク質の発現ベクター構築をすすめた。人工合成したtetOあるいはlacO配列を含むアルフォイドDNAの最小繰り返し単位(monomer、約170bp)をライゲーションし、高次反復配列の基本単位である11mer (約1.8kb)を得た。さらに11mer同士をライゲーションして2倍の長さのアルフォイドDNAをクローニングすることを繰り返し、約15kbのtetO / lacOアルフォイドDNAを構築した。これらアルフォイドDNAを、tetRおよびlacIと融合したHJURP発現細胞に導入した。HJURPはセントロメアクロマチンの構成タンパク質であるCENP-Aのリクルート因子である。導入した各DNAをクロマチン免疫沈降法で解析した結果、tetO、lacOいずれのアルフォイドDNAにもHJURP依存的なCENP-A集合が確認できた。なお、tetRおよびlacI融合タンパク質の発現ベクターおよび発現株の構築は主要なものについては終了している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
約30kbの改変型アルフォイドDNAの構築および細胞への導入、解析をすすめる計画であったが、それらを達成できなかった。原因としては申請者の体調不良による休職 (平成24年1月~5月)と、長い反復配列DNAのクローニングにおける技術的なトラブルが挙げられる。休職・治療により申請者の体調は回復し、また改変型アルフォイドDNAの構築において生じたトラブルはその都度解決しており、あと一回のライゲーションにより、HAC形成に必要な約30kbのアルフォイドDNAが得られる段階にある。
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Strategy for Future Research Activity |
目標のDNAが構築でき次第、tetRおよびlacI融合タンパク質発現株に導入する。まずはセントロメアクロマチンおよびヘテロクロマチン集合因子を各1種類に絞り込み、初期のクロマチン構造形成、およびHAC形成効率を集中して解析することで、これまでの遅延を挽回していく。 これらの解析により、クロマチン集合バランスとセントロメア機能構造の形成効率の相関を明らかにできたら、次にその相関が細胞種や細胞の状態(分化・老化等)によってどのように変化するか、あるいは変化しないかを調べ、クロマチン集合バランスによるセントロメア活性制御のメカニズムの実態を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の計画通り、細胞培養に必要な試薬、培養細胞へのDNA導入試薬類に研究費を使用していく予定である。
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