2011 Fiscal Year Research-status Report
個体群動態、遺伝的構造、生活史変異を考慮した個体群ユニットの検討
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23770013
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小泉 逸郎 北海道大学, 創成研究機構, 特任助教 (50572799)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 個体群生態学 / 進化生態学 / 集団遺伝学 / 個体群管理 / 遺伝的多様性 / 同調性 / 生活史変異 / 進化的に重要な単位(ESU) |
Research Abstract |
本研究は、北海道のサケ(シロザケ)において約100年間50河川の捕獲データを用いて、個体群動態、遺伝的構造、生活史変異を考慮した個体群ユニットの検討を行う。多くの野外個体群は局所個体群同士が個体の移動によって連結されており、各局所個体群がお互いにどの程度依存しあっているかを知ることは、個体群生態学上、進化生態学上、非常に重要である。また、サケのように産業的にも重要な生物にとっては適切な保護管理をする上でも欠かせない。本研究では、個体群という実体把握の難しい概念を、異なる視点からの個体群ユニットとして見つめなおし(個体数変動の同調性、遺伝的組成の均一性、生活史形質の一致性)、世界的にも貴重な大規模データを用いてこれを明確に示す。 平成23年度は資料の収集、および個体群動態の予備解析を行った。個体数変動は近接した河川間である程度同調しており、同一のデモグラフィックユニットに属することが示唆された。しかし、同調性の程度は解析する期間(年代)によって大きく異なることが分かった。今後、適切な解析スケールやサンプリングバイアスを考慮する必要がある。また、収集文献から卵サイズや体サイズといった生活史形質は、年変動を考慮しても個体群間で変異があることが確認された。デモグラフィックユニットと生活史変異の地域性が一致するか検討中である。一方、予定していたDNA解析用の野外サンプリングについては今年度は保留した。国の研究機関によって既にある程度のサンプルが集められていたため、サンプル地点の詳細を聞くと共に、データの共同利用の可能性について打診している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
個体数変動の予備解析については順調に進展した。文献収集についてはそれなりに集めることが出来た。しかし、資料収集・整理を担当してくれる補助人員を確保することができず、予定していたよりは進まなかった。DNA解析については、国の研究機関とテーマが被っている部分があり、上手く調整する必要がある。さけ・ますの研究は国あるいは北海道でも力を入れているために、データ利用が当初考えていた以上に難しいかも知れない。
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Strategy for Future Research Activity |
個体数変動の解析、および生活史形質の地域変異については予定通り推進する。DNA解析については関係研究機関と協議しながらデータの利用効率化をはかる。シロザケについて解析が難しい部分は、ある程度のデータ蓄積があるサクラマス、およびオショロコマでの解析を検討する。異なる種を用いることで、種間比較や地域スケールの比較も行うことができ、当該テーマを十分に推進することが期待できる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度に保留した野外サンプリングの調査費用とDNA解析に用いる。進捗状況に応じて国内の学会発表の経費とする。また、平成23年度に購入した備品および人件費の支払いに使用する。
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Research Products
(4 results)