2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23770020
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
塩尻 かおり 京都大学, 白眉センター, 助教 (10591208)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 血縁認識 / 植物間コミュニケーション / 匂い / 誘導反応 / ケモタイプ |
Outline of Annual Research Achievements |
植物コミュニケーションとは、傷害を受けた植物から放出される情報物質を隣接する植物が受容し、健全であるにも関わらず、誘導的防衛反応を引き起こすという現象である。 当該分野は2000年以降、生態学的手法ならびに分子生物学的手法によりその実態解明が行われてきているが、その適応的意義を含む全体像の理解には程遠い。本研究では、1)植物コミュニケーションの適応的意義を明らかにすること、2)植物コミュニケーションが植物界においてどの程度一般性のあるものなのかを明らかにすることを目的として研究を行ってきた。 最終年度として行った研究として1)では、匂いコミュニケーションにおける季節変化に注目した。前年度までに、我々はセージブラシにおいて夏(花序形成期)に匂いを受容した場合に花序乾燥重要が増加することを明らかにした。この原因を明らかにするために、花序に多大な被害をもたらすアブラムシの密度を調査した。その結果、花序形成期に匂いを受容すると、花序の抵抗性が誘導されることでアブラムシ密度が減少することを明らかにした。2)においては、新たに5種の野生植物を用いて野外において同種間の匂いコミュニケーションの有無を検証した。その結果、5種のうち3種で匂い受容した個体で被害が減少していた。つまり、匂いコミュニケーションが起きていることが実証された。 本研究機関全体として明らかになった主なことは、匂いコミュニケーションが植物分類群を超えて一般的であること、セージブラシ・セイタカアワダチソウにおいては、匂いによる血縁認識を行っており、血縁度の高い匂いを受容するとより誘導反応が強く引き起こることである。またその匂いによる血縁認識機構として、ケモタイプ(主要な匂い成分でグループ分け)を考慮したが、セージブラシはケモタイプによらない匂いによる血縁認識を行っていることが明らかになった。
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Research Products
(7 results)