2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23770034
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
伊藤 秀臣 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (70582295)
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Keywords | 環境ストレス / トランスポゾン / シロイヌナズナ |
Research Abstract |
本研究の目的は、この熱活性型トランスポゾンを利用することで環境ストレスが植物ゲノムに与える影響を検証することであった。まず始めにこの熱活性型トランスポゾンの詳細な熱応答性を解析した。また、転移抑制に働く遺伝子の同定を行った。その結果、このトランスポゾンは37℃付近に熱応答性の閾値が存在し、siRNAが転移の抑制に働いていることを確認することができた (Matsunaga et al. Plant & Cell Physiol. 2011)。また、転写活性を制御している因子を同定するため、変異原処理した植物を用い高温ストレスで活性化するトランスポゾンが常温(22℃)でも活性化するような変異体の探索を行ために、熱活性型トランスポゾンにGFPを融合させた形質転換体の確立を行った。またシロイヌナズナ近縁種における類似のトランスポゾンの存在様式を明らかにし、本研究で対象とする熱活性型トランスポゾンが異なる環境で生息する種において進化過程で何らかの適応に関わっているかどうかを挿入位置の特定(遺伝子の改変)することで検証した。その結果、近縁種であるArabidopsis Lyrataゲノム内にも熱活性型トランスポゾンが保存されていることが明らかとなった。さらに研究対象となる近縁種の数を増やし、環境ストレスがゲノムの安定性に与える影響を理解し、さらに環境変動の引き起こす世代を超えた効果について理解した。その結果、本研究対象の熱活性型トランスポゾンはアブラナ科植物に広く保存されており、遺伝子領域近隣もしくは内部に保存されている傾向があった。また、興味深いことにいくつかの種では熱活性が保存されていることが明らかになった (Ito et al. Gene 2013)。
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Research Products
(6 results)