2011 Fiscal Year Research-status Report
植物の高次機能を制御する葉緑体型緊縮応答の分子メカニズム
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23770038
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
増田 真二 東京工業大学, バイオ研究基盤支援総合センター, 准教授 (30373369)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 緊縮応答 / シロイヌナズナ / ppGpp / stringent response / 葉緑体 |
Research Abstract |
緊縮応答はもともと細菌で発見/研究されてきた環境応答機構であるが、近年真核生物からも見いだされ、生物普遍的な生体システムであることがわかってきた。植物において緊縮応答は葉緑体で行われるイベントと考えられるが、その具体的な生理機能は明らかとなっていない。本研究では、モデル植物シロイヌナズナを用いて、葉緑体型緊縮応答の役割を明らかにすることを目標に研究を進めている。緊縮応答の中核をなす分子は、セカンドメッセンジャーとして機能する特殊な核酸分子ppGppで、大腸菌においてはRelA、SpoTと名付けられた2つの酵素により、その内在量がコントロールされている。近年植物からRelA/SpoTと相同性のある遺伝子が見つかり、それらはRSHと呼ばれている。シロイヌナズナには、RSH1, RSH2, RSH3, CRSHの4つのRSH遺伝子がある。今年度はその中でも特にCRSHに焦点を絞り、研究を進めた。1)CRSHの発現を任意に誘導できる系の確立を進めた。具体的には、任意の時期にCRSHの発現を行うことのできるデキサメタゾン誘導プロモータ下流にCRSHのcDNAをつなぎ、その組換え遺伝子をアグロバクテリウムをもちいた系により野生型シロイヌナズナに導入した。何度かの継代を経て、導入遺伝子をホモに持つラインの確立に成功した。2)CRSHの発現を任意に抑制できる系の確立を進めた。具体的には、任意の時期にCRSHのノックダウンを行うことのできるデキサメタゾン誘導プロモータ下流にCRSH遺伝子人口amiRNAをつなぎ、その組換え遺伝子をアグロバクテリウムをもちいた系により野生型シロイヌナズナに導入した。何度かの継代を経て、導入遺伝子をホモに持つラインの確立に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目的の組換え植物体の作成が順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度作成した組換えシロイヌナズナを用いて、CRSHの機能強化またはノックダウンによりどのような表現型が引き起こされるのかを精査する。同時にCRSHの機能強化またはノックダウンにより、代謝産物およびホルモン量にどのような影響が出るのかをメタボロミクスおよびホルモノーム的アプローチで解析を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
23年度に抗体の作成を計画していたが、抗原の調整が送れ、24年度にずれ込むことになった。そのため23年度に残額が生じた。しかしその残額分は24年度に使用する見込み。それを見込んで、試薬/制限酵素/修飾酵素/ガラス器具といった消耗品の購入に138万円、日本植物生理学会等での成果報告の旅費に10万円、その他の経費に20万円必要となる見込み。
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