2012 Fiscal Year Research-status Report
植物の高次機能を制御する葉緑体型緊縮応答の分子メカニズム
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23770038
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
増田 真二 東京工業大学, バイオ研究基盤支援総合センター, 准教授 (30373369)
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Keywords | 栄養応答 / 緊縮応答 / シロイヌナズナ / ppGpp / stringent response / 葉緑体 |
Research Abstract |
緊縮応答はもともと細菌で発見/研究されてきた環境応答機構であるが、近年真核生物からも見いだされ、生物普遍的な生体システムであることがわかってきた。植物において緊縮応答は葉緑体で行われるイベントと考えられているが、その具体的な生理機能は明らかとなっていない。本研究では、モデル植物シロイヌナズナを用いて葉緑体型緊縮応答の生理的役割を明らかにすることを目標に研究を進めている。 緊縮応答の中核を担う分子はグアノシン4リン酸(ppGpp)である。ppGppは遺伝子発現や代謝酵素等に作用し、様々な生理機能を正または負に制御すると考えられる。シロイヌナズナのゲノムには、4つのppGpp合成/分解酵素(RSH1, RSH2, RSH3, CRSH)が保存されている。現在までに、1)4つのRSHタンパク質は全て葉緑体に少なくとも局在すること、2)RSH2, RSH3, CRSHは大腸菌内でppGpp合成活性を有すること、3)RSH2, RSH3は葉緑体の膜各分に、CRSHは葉緑体の可溶性各分に存在する、ことがわかっている。現在までに、4つのRSHそれぞれの過剰発現やノックアウト/ノックダウン体の作成を進め、いくつかの表現型が観察されている。しかしながら、見られる表現型がppGppの細胞内存在量の上昇によるものなのか、それとも現象によるものなのかが明らかではない。 しかし植物細胞におけるppGppの存在量はきわめて微量で、その定量が困難であった。そこで本年度は、LC/MS/MSを用いたppGppの高感度定量法の確立をめざした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
LC/MS/MSを用いたppGpp定量法の確立を進めたが、当該機器が導入されたばかりということもあり、機器自体のセットアップに予想を超える時間を要した。また植物体からのppGppの抽出法の検討にも予想以上に時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
機器のセットアップとカラムの検討がほぼ終了した。セットアップに時間がかかったため、カラムの購入が遅れた。そのため24年度に発生した残額の大部分は、25年度にそのカラムの購入に充て、ppGpp単体の分離を行うことで、定量の高感度化を目指す。また植物体からのppGpp抽出法の検討をさらに進め、最終的に、様々な環境で生育させた植物体内のppGpp量の変動を調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
50万円ほどの研究経費があるが、そのほとんどをLC/MS/MS用のカラム、溶媒、バイアル等の消耗品にあてる。
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