2011 Fiscal Year Research-status Report
エンハンセオソーム転写因子複合体の形成による植物細胞死の誘導の分子機構
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23770045
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
上中 弘典 鳥取大学, 農学部, 准教授 (40397849)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 細胞死 / 転写制御 / 転写因子 / 植物 / タンパク質間相互作用 / シロイヌナズナ |
Research Abstract |
プログラム細胞死は、壊死とは異なり生物に利益をもたらす遺伝的に制御された積極的な細胞レベルでの死である。植物において、細胞死が病害抵抗性を始めとする防御応答や器官形成等の高次機能の制御に幅広く関与することが明らかになってきているが、細胞死の誘導に直接関わる転写制御メカニズムについてはほとんど明らかになっていない。これまでの研究から、細胞死の制御に関わることを明らかにしているAtbZIP10は、AtbZIP53、ABI3と共に「エンハンセオソーム」という転写活性化能が非常に強い転写因子複合体を形成することで、貯蔵タンパク質の蓄積や浸透圧調節などに関わる遺伝子群の転写制御を行っていることが報告されている。細胞死誘導の転写制御においてもAtbZIP10等から構成されるエンハンセオソームが機能していると示唆されることから、本研究ではAtbZIP10を含むエンハンセオソームに注目し、モデル植物シロイヌナズナにおいてエンハンセオソームによる細胞死誘導遺伝子の転写制御に関する実験を行うことで、植物細胞死の誘導の転写制御の分子機構の全体像を明らかにすることを目的とした。共発現データベースを用いた解析から、AtbZIP10と共発現する遺伝子として同定したγVPE遺伝子、及びAtbZIP10の標的遺伝子の候補であるLSD1遺伝子について、エンハンセオソームによる転写活性化を調査した。一過的遺伝子導入系を用い、ルシフェラーゼ遺伝子を用いたレポーターアッセイによる解析を行ったところ、両遺伝子はAtbZIP10、AtbZIP53、ABI3単独ではほとんど転写活性化されないが、3つの転写因子を同時に発現させた場合にのみ強く転写活性化を受ける事を明らかにした。本実験結果は、植物の細胞誘導に深く関与することが明らかになっている両遺伝子がエンハンセオソームにより転写制御を受けていることを強く示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
エンハンセオソームによる細胞死関連遺伝子の転写活性化の調査に関しては予定通り進んだが、(1)T-DNA挿入変異体を用いた細胞死誘導に関わるエンハンセオソームを形成するABI3/VP1型転写因子群の同定、及び(2)エンハンセオソームを形成する転写因子間の相互作用解析が予定通り進まなかった。(1)については、変異体の細胞死表現型の解析手法の確立に手間取り、実験系の確立はできたが、クリアな結果を得るまでにはまだ至っていない。(2)については、酵母のツーハイブリット法では相互作用を調べたい領域の解析ができなかったため、現在は別法による解析を試みている。どちらの実験に関してもデータが出つつあるので、平成24年度には結果が得られると期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
前述のように、本年度予定通り進まなかった実験については、平成24年度中に終了できるよう研究に取り組む。また、まだ取り組めていない、クロマチン免疫沈降(ChIP)法を用いたエンハンセオソームの標的遺伝子の解析、及び細胞死誘導に関わるエンハンセオソームを形成する新奇タンパク質の同定も精力的にすすめていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前述通り研究が予定通り進まなかった部分もあったため、本年度はその研究の遂行に必要であった備品消耗品の購入等を見合わせたので、次年度に使用する助成金が生じた。次年度では本年度予定通り進まなかった研究の進展が見込まれるので、本年度購入を見合わせたこれらの備品消耗品の購入と共に、当初より次年度に予定していた研究課題の遂行にかかる消耗品の購入、研究内容の発表に関わる旅費、及び関連する研究内容の公表にかかる経費などを支出する予定である。
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Research Products
(14 results)
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[Journal Article] Differences in intron-mediated enhancement of gene expression by the first intron of cytosolic superoxide dismutase gene from rice in monocot and dicot plants.2012
Author(s)
1.Morita, S., Tsukamoto, S., Sakamoto, A., Makino, H., Nakauji, E., Kaminaka, H., Masumura, T., Ogihara, Y., Satoh, S. and Tanaka, K.
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Journal Title
Plant Biotechnology
Volume: 29
Pages: 115-119
DOI
Peer Reviewed
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