2012 Fiscal Year Research-status Report
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23770047
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
古本 強 龍谷大学, 文学部, 教授 (30313208)
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Keywords | C4光合成 / BASS4 / 葉緑体 / 物質輸送 |
Research Abstract |
プラスチドと細胞質の間での物質交換能力については、植物の代謝を理解しバイオマス増産へ利用するための基礎として完全な理解が求められている。一方で輸送活性測定の困難さから、生理的に重要でありながら生化学的に証明されていない輸送機能は枚挙にいとまがない。申請者は、C4植物とC3植物との間でのトランスクリプトーム解析から、プラスチドに局在すると予想されC4回路上で機能すると推定される新規輸送体PyT1とPyT2の単離に成功した。これまでにPyT1についての生化学解析手法を開発し、これを終え、PyT1が葉肉細胞葉緑体で機能するピルビン酸輸送体であることを明らかにした。同様の単離過程において見出されたPyT2については、新規リンゴ酸輸送体かあるいは新規ピルビン酸排出輸送体の責任分子であると強く推察された。本申請では、PyT2の生化学的機能解析をPyT1に準じて行い、その輸送物質を同定すること目的とした。 まず、大腸菌発現を試みた。PyT2はPyT1と同様のBile acid sodium symporter Family(BASS)に属する。PyT1がナトリウム依存的活性を示したことから、同様に候補輸送物質の輸送にナトリウム勾配を必要とする可能性があるが、安定な発現状態を保つことができなかった。 次いで、in vitroタンパク質合成を試みた。この方法により、安定なタンパク質の合成に成功した。 最後に、輸送活性を検出することを電気伝導度を測定する新規輸送活性測定システムに供して、試みた。うまく測定できなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
C4光合成炭素代謝回路上にて、葉緑体包膜で機能する輸送体と目されるBASS4の機能解析が当研究の骨子である。機能解析に必要な実験条件については、(1)当該タンパク質の発現系の構築(2)輸送活性の測定、そして(3)逆遺伝学的解析のために機能抑制植物の作出と(4)その評価が、必要である。これら4つの項目について、(1)および(3)は達成できた。ところがタンパク質発現システムを変更させたことから、当初予想した従来確立した輸送活性測定法が適用できなくなり、その代わりに導入した電気伝導度測定による輸送活性測定に持ち込んだが、うなく機能しなかった。このことは、機能解析の最も大切な輸送活性測定について達成できなかったことを意味する。今後、引き続き、この実験条件を確立し、この困難は解消したいと考えている。 また、逆遺伝学的解析については、新たに奈良先端大学の共同研究者をえ、形質転換固体を入手することに成功したが、その生理評価には至っていない。 実験場の困難さに合わせてその都度困難は回避してきたが、当初の予定から比べると進行が遅い印象はぬぐえない。
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Strategy for Future Research Activity |
当該研究の推進は、(1)生化学的評価と(2)生理学的評価の二つの課題を進めることにある。 (1)はとりもなおさず、新しい輸送活性測定法に慣れ、機器を使い慣れることとともに、輸送活性を検出することにある。 (2)は形質転換植物の生育を待ち、生理活性を測定することで異常を見出すことを主目的とする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年10月に龍谷大学に異動した。この異動により、研究室を新しく立ち上げることになり、研究の停滞を余儀なくされた。そのために使用できなかったおよそ10万円の残金がある。 これらを用いて、上記の推進の方針に基づき、(1)生化学的評価と(2)生理学的評価の二つを推進する。
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Research Products
(2 results)