2012 Fiscal Year Annual Research Report
サンゴ―褐虫藻共生系における白化および共生メカニズムの微細形態学的解析による解明
Project/Area Number |
23770064
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
関田 諭子 高知大学, 教育研究部総合科学系, 准教授 (70314979)
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Keywords | 褐虫藻 / サンゴ / 共生 / 微細構造 |
Research Abstract |
共生性渦鞭毛藻(Symbiodinium spp.)は褐虫藻と呼ばれ,多くの海産無脊椎動物と共生関係にある。しかし,褐虫藻の細胞表層部分の膜系構造の複雑さと固定の困難さから,サンゴ体内での褐虫藻の詳細な存在位置や細胞表層の詳細な微細構造,さらには,褐虫藻の分裂・分配様式などについては明確な報告がなく,未解明な部分が多い。 前年度までにハナヤサイサンゴに共生する褐虫藻は,原形質膜の内側に微小管に裏打ちされた扁平な小胞が分布する渦鞭毛藻類特有の細胞外被をもち,原形質膜の外側に,褐虫藻細胞を取り囲む連続する2 枚の膜様構造(外側から膜様構造1,膜様構造2)が存在すること,膜様構造1と2の間には,断片化した膜が多層積み重なったような構造が部分的に存在すること,さらには高温ストレス時における微細構造の変化について明らかにしている。本年度は,サンゴ細胞内で褐虫藻密度をコントロールし,共生関係を維持するために重要であると考えられる褐虫藻の分裂過程を急速凍結置換固定法,フリーズフラクチャー法により透過型電子顕微鏡で観察した。その結果,共生褐虫藻を取り囲む連続する2重の膜様構造(膜様構造1,2)は,外側の膜様構造1がサンゴの食胞膜由来と考えられる生体膜であり,膜様構造2は非生体膜であることが明らかになった。また,サンゴの細胞内での褐虫藻の細胞分裂は,まず核分裂が先行して起こり,その後,原形質膜が細胞の赤道面で貫入し始めた。細胞質分裂が完了後,膜様構造2が細胞質分裂面に向かって貫入してそれぞれの娘細胞を取り囲んだ後に,膜様構造1が分裂面に向かって貫入し始めた。最終的に,膜様構造1と2にそれぞれ囲まれた2つの娘細胞(褐虫藻)が1つのサンゴ細胞の中に存在した。この後の褐虫藻の分配様式(サンゴ細胞との関係)を明らかにすることが今後の課題であるが,本研究成果の一部は学会誌に投稿予定である。
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Research Products
(3 results)