2012 Fiscal Year Annual Research Report
どのようなシグナル変換・伝達過程を経て植物は重力に対抗できる体を構築しているのか
Project/Area Number |
23770065
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
曽我 康一 大阪市立大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (00336760)
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Keywords | 抗重力反応 / 過重力 / シロイヌナズナ / 成長 / 細胞壁強度 |
Research Abstract |
植物が重力に対抗できる体を構築する「抗重力反応」におけるシグナル変換・伝達のメカニズムの解明をめざし、シロイヌナズナにおいて突然変異体(遺伝子欠損株)と重力応答遺伝子の探索を行った。欠損株の探索は、米国SALK研究所のT-DNAタグライン(T-DNA挿入ホモライン)を、300 gの過重力環境下で生育させ、胚軸の長さと細胞壁強度を指標として行った。また、重力応答性遺伝子の探索は、300 g環境下で生育させた野生型の芽生えを材料とし、cDNAマイクロアレイ法によって行った。その結果、欠損株に関しては、野生型と比べ、過重力により胚軸成長の阻害の程度が低いものや細胞壁強度の増加の程度が低いものを複数単離することができた。また、過重力によって、遺伝子発現のレベルが、一過的に変化するものや、時間とともに増加するもの、逆に時間とともに低下するものなどがあり、複数の候補遺伝子を得ることができた。両選抜において共通していた遺伝子は2種であった。両欠損株とも、野生型と比べ、過重力により胚軸成長の阻害の程度が低く、なおかつ、細胞壁強度の増加の程度が低くかった。ところが、それぞれの遺伝子発現量は、一方が過重力により低下し、他方が過重力により増加した。両遺伝子の過剰発現株を作製し、その成長ならびに細胞壁強度を解析したところ、野生型では、明瞭な変化が見られない低い過重力環境下においても、成長や細胞壁強度に変化が見られた。以上のように、本研究によって、「抗重力反応」におけるシグナル変換・伝達に関わると思われる2種の遺伝子を単離することができた。両遺伝子のシグナル変換・伝達における役割に関しては、さらなる解析が必要である。
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Research Products
(5 results)