2012 Fiscal Year Annual Research Report
Y染色体微細加工と顕微発現プロファイリングを用いた植物性決定遺伝子の完全解明
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23770070
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
風間 裕介 独立行政法人理化学研究所, イオンビーム育種研究チーム, 研究員 (80442945)
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Keywords | 植物 / 加速器 / 重イオンビーム / 性染色体 |
Research Abstract |
雌雄異株植物ヒロハノマンテマのY染色体には、雄蕊伸長促進機能領域(SPF)と雌蕊抑制機能領域(GSF)が存在する。これらに座乗する性決定遺伝子の同定を目指し、以下の課題を遂行した。 1.理研リングサイクロトロンで加速したCビーム20Gyをヒロハノマンテマの花粉に照射し、後代種子を1000粒獲た。スクリーニングの結果、SPFを欠失する無性花を2株、GSFを欠失する両性花を1株を新たに得て、合計で無性花11株、両性花13株となった。 2.ヒロハノマンテマのオス株由来のBACライブラリー (平均インサートサイズ105 kb、130,000クローン)の構築をゲノム支援の協力により完成させた。 3.X染色体特異的遺伝子SlWUS1を同定した。近縁種におけるSlWUS1のゲノムシーケンスを比較解析した結果、ヒロハノマンテマのY染色体は、常染色体から進化する際にSlWUS1周辺領域を失ったことを明らかにした。 4.本課題では、SPF近傍のゲノム配列の獲得に集中する予定であったが、BACライブラリーの完成が予定よりも遅れたため、SPFとGSFの両方をターゲットとし、近傍マーカーの獲得を優先した。英国エジンバラ大とオックスフォード大との共同研究により、オス株とメス株のゲノムDNA、及び雌雄のつぼみ由来のcDNAを次世代シーケンサーで解析した。オスの蕾のみで発現する遺伝子+オスのゲノムだけに存在するDNA断片を収集し、Y染色体由来と考えられる1741のDNA断片を得た。この1741断片について、Y染色体欠失・性転換変異体群における欠失の有無を調べた。両性花変異体で共通して欠失する断片は得られなかったことから、既に同定済みのMK17というマーカーがGSFに最近傍であると考えられる。無性花変異体では3つの断片が共通して欠失していた。これらの断片をSPFの最近傍マーカーとして同定した。
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Research Products
(12 results)