2013 Fiscal Year Annual Research Report
社会性昆虫の繁殖制御に関わる神経・内分泌機構の進化学的研究
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23770078
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
佐々木 謙 玉川大学, 農学部, 准教授 (40387353)
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Keywords | ドーパミン / ハナバチ類 / カースト / 繁殖制御 / 生体アミン / 受容体 / 合成酵素 |
Research Abstract |
社会性昆虫で見られるメスの繁殖分業はコロニーの成長や繁殖の高効率化に寄与しており、繁殖制御機構の解明は繁殖分業の進化過程を知る上で重要な課題である。本研究では、社会性進化の程度の異なるハナバチ類3種を用いて、性行動や生殖腺発達を促進するドーパミンについて、ドーパミンを調節する生理的要因や環境要因の特定を目指す。平成25年度では、前年度までにやり残したセイヨウミツバチの実験を完了させるとともに、クロマルハナバチやキムネクマバチの性行動とドーパミンとの関係についても調査した。 まずセイヨウミツバチにおいては、前年度までに女王や産卵ワーカーの高い脳内ドーパミン濃度が、ローヤルゼリー摂取を介したチロシン経口摂取に由来する可能性を示唆する結果を得ていたので、さらに実験コロニー数を増やし、補強するデータを集めた。それらの結果を論文化し、現在、その論文原稿を査読付きの学術雑誌に投稿している。 クロマルハナバチにおいて、前年度までにワーカーおよびオスの脳内ドーパミンと性行動や生殖器官の発達との関係について調査してきたが、女王における調査が行われていなかった。そこで、飼育条件下における交尾直後の女王、低温休眠中の女王、創設初期(産卵開始後)の女王について、血中、脳内、胸部神経節内、腹部終末神経節内のドーパミン量をそれぞれ定量し比較した。その結果、交尾直後の女王の血中、脳内、胸部神経節内ドーパミン量が創設女王のそれよりも有意に多かった。これらの結果は、交尾時期のドーパミン量が産卵開始時よりも多いというセイヨウミツバチの女王の結果と類似していた。 キムネクマバチにおいては、ドーパミンによるオスの縄張り行動の活性化について、注入するドーパミン濃度の異なる実験群を新たに追加した。その結果と前年度までのオスにおけるメソプレンに対する脳内ドーパミン量の増加を示す結果を論文化し、査読付き学術雑誌に発表した。
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Research Products
(16 results)