2012 Fiscal Year Research-status Report
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23770081
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊勢 優史 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 特任助教 (20535108)
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Keywords | 海綿動物 / 分類学 / 浮遊分散 / サンゴ礁 |
Research Abstract |
平成24年度は, 1. フウライカイメンの姉妹群の探索, および, フウライカイメンの浮遊性芽球の沈降メカニズムの調査を行った. 1については, これまでの研究で行っていた40種2遺伝子を用いた解析から種数と遺伝子数, 塩基配列数を増やし, 56種3遺伝子を用いた解析を行った. その結果, フウライカイメンが共生褐虫藻をもつ一群とクレードを形成することは再度支持されたが, 明確な姉妹群は引き続き不明となった. 今後は外群の選定や解析方法を精査し, 再度分子系統解析を行う予定である. 2については, 沖縄県島尻群座間味村の阿嘉島臨海研究所を基地として実験を行った. 近隣の渡嘉敷島にて生きた芽球や未成熟の芽球を有したカイメンを採集, 屋外水槽にて飼育し, 昼間および夜間に観察を行った. その結果,昼間の太陽光により体表で盛んに気泡が形成されることで, 芽球が浮遊することが判明した. しかし, 芽球は夜間においても浮遊したままであり,沈降メカニズムは不明なままであった. 浮遊性芽球は, 沈降できなければ分散を行う上では死滅回遊のような異常な状況にあると考えられる. 一方, 屋外水槽での飼育では自然状態とは異なる要因が働いていることも考えられる. 今後は飼育実験ではなく, 野外での実験や経時観察に重点をおいた研究を行う予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
芽球の沈降メカニズムについての解明が遅れている. フウライカイメンの無性生殖シーズンは夏季であるが, 当初の予定では1週間ずつ2回行う予定だったのが夏季に集中的に入る業務により1回だけとなり充分な調査を行うことができなかった. 当初は採集した芽球を屋外水槽で飼育し, 昼間と夜間の浮遊沈降のメカニズムについて調査予定であった. しかし, 実験により屋外水槽での飼育自体がアーティファクトの要因となっていることが示唆され野外での調査に切り替える必要がある. また, 分子系統解析についてもPCRの成功度が種によって極端に異なり, 充分なデータを得ることができていない. 更には, 核遺伝子にintra genomic variationをもつ種が新たに複数種見つかり, それらの塩基配列解読が成功していない.
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は, 調査基地を琉球大の瀬底研究施設に移し, 野外でコドラート等を設置することにより自然状態での個体の観察を行う. これにより, 屋外水槽での飼育によるアーティファクトを避けて, 芽球の浮遊および沈降メカニズムの観察を行うことができる. 調査日程は集中的な業務のない6月中旬と7月中旬とする. また, まだ観察できていない芽球内部の成長段階を追うため, 組織切片用の標本の採集を行う. 調査や業務の合間には, 引き続き形態解析と分子系統解析を行う. フウライカイメンの姉妹群探索において塩基配列が得られていない種については, 別の遺伝子を試す予定である, またintra genomic variationが見つかっている種については, クローニングを行うか変異のあるサイトを解析から除外することで対処する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度交付分の研究費は当初の予定通り使用する.
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Isolation of Ciliatamide D from a Marine Sponge Stelletta sp. and a reinvestigation of the Configuration of Ciliatamide A2013
Author(s)
Imae, Y., Takada, K., Okada, S., Ise, Y., Morii, Y., Yoshimura, H. & Matsunaga, S.
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Journal Title
Journal of Natural Products
Volume: 76
Pages: 755-758
Peer Reviewed
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[Journal Article] Isolation of Spirastrellolides A and B from a Marine Sponge Epipolasis sp. and their Cytotoxic Activities2012
Author(s)
Suzuki, M., Ueoka, R., Takada, K., Okada, S., Otsuka, S., Ise, Y. & Matsunaga, S.
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Journal Title
Journal of Natural Products
Volume: 75
Pages: 1192-1195
Peer Reviewed
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