2011 Fiscal Year Research-status Report
種間交雑による新奇な体表模様パターンの形成と種分化
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23770086
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宮澤 清太 大阪大学, 生命機能研究科, 助教 (10377905)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 模様パターン |
Research Abstract |
「模様パターンの混合」が「交雑による種分化」をもたらし得る、という仮説を検証し、模様パターンの多様性を生み出すメカニズムの一端を明らかにするため、本研究課題では「模様パターンの混合」が種分化を引き起こす条件の数理的検討、トラフグ属魚種を対象とした「模様パターンの混合」の実例の探索と検証、「模様パターンの混合」をもたらす因子の同定とメカニズムの解明、の各項目について研究を行っている。本年度はまず「模様パターンの混合」が種分化を引き起こす条件の数理的検討を行う目的で模様パターンの形成過程を組み込んだ個体ベースモデルのプロトタイプを構築した。種分化過程のシミュレーションを試み、「模様パターンの混合」が生じる場合に新しい種が形成されるに至るための条件を検討・評価中である。一方、トラフグ属魚種を対象とした解析においては、対象とする魚種のうちムシフグの新規サンプル収集がやや難航しているものの、既存のサンプルを用いてITS領域等の解析を進めているところである。また、「模様パターンの混合」をもたらす因子の解析については、ゼブラフィッシュ模様関連遺伝子のうちギャップ結合構成因子であるコネキシンについてトラフグ属魚種間での比較を行い、模様パターンとの関連を調べた。ゼブラフィッシュ体表模様においてコネキシン遺伝子の変異がもたらす劇的な効果からの予測とは反し、模様パターンに対応するような配列変化は検出されず、硬骨魚の模様パターン形成を担う構成因子の多様性・複雑性を示唆する結果となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
トラフグ属魚種を対象とした解析において、対象とする魚種のうちムシフグの新規サンプル収集がやや難航しており、AFLP解析に必要となる個体数が確保できていない状況である。そのため本研究の目的の1つである「模様パターンの混合」の実例の検証という部分については当初計画からやや遅れているが、他の項目については概ね順調に進展しているものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
トラフグ属魚種のサンプル収集と解析について、各地の水族館及び漁業関係者のご協力を仰ぎながら優先的に進めたい。とくに迷彩模様をもつムシフグのサンプル収集を重点的に行い、複雑な模様パターンと属内系統関係との関連の詳細な解析へと繋げたい。一方、数理モデルに基づくシミュレーション環境の構築と模様関連候補因子の解析についても引き続き進めていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初予定していたサンプル収集の遅れにより、解析に関連する一部研究費の次年度への繰り越しが生じている。翌年度請求予定の分と合わせ、サンプル収集・解析を効率的に進めるべく、収集対象地域の拡大及び解析手法の変更を検討している。その他項目に関しては申請当初の使用計画に沿って実施していく予定である。
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[Journal Article] Shh signaling is essential for rugae morphogenesis in mice.2011
Author(s)
Lee, J M, Miyazawa, S, Shin, J O, Kwon, H J, Kang, D W, Choi, B J, Lee, J H, Kondo, S, Cho, S W, Jung, H S
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Journal Title
Histochemistry and Cell Biology
Volume: 136
Pages: 663-675
DOI
Peer Reviewed
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