2012 Fiscal Year Research-status Report
種間交雑による新奇な体表模様パターンの形成と種分化
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23770086
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宮澤 清太 大阪大学, 生命機能研究科, 助教 (10377905)
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Keywords | パターン形成 / 模様 / 進化 |
Research Abstract |
動物の体表に見られる多彩な模様パターンは、生物の多様性を鮮やかに示す実例であるばかりでなく、まさにその多様性を生み出す要因ともなり得る。本研究課題では「種間交雑による模様パターンの混合」という現象に着目した。模様パターンの混合が交雑による種分化をもたらし得る、という仮説を検証し、模様パターンの多様性を生み出すメカニズムの一端を明らかにするため、「模様パターンの混合」が種分化を引き起こす条件の数理的検討、トラフグ属魚種を対象とした「模様パターンの混合」の実例の探索と検証、「模様パターンの混合」をもたらす因子の同定とメカニズムの解明、の各項目について研究を行っている。本年度は前年度に引き続き模様パターンの形成過程を組み込んだ個体ベースモデルによるシミュレーション環境の構築を試みるとともに、トラフグ属魚種の収集と解析を進めた。稀少種ムシフグについて日本海側産個体を新たに数サンプル入手することに成功し、解析に加えることができた。これまでのmtDNA、ITS領域等を対象とする配列解析に加え、新たにAFLP法による解析を行い、ムシフグの太平洋側集団、日本海側集団と近縁種コモンフグとの比較検証を進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
トラフグ属魚種を対象とした解析において、稀少種ムシフグのサンプル収集が期待していた数量を若干下回っており、AFLP解析による集団構造解析に必要となる個体数にやや満たない状況である。そのため本研究の目的の1つである「模様パターンの混合」の実例の検証という部分については当初計画からやや遅れているが、他の項目については概ね順調に進展しているものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
トラフグ属魚種のサンプル収集と解析について、各地の水族館及び漁業関係者のご協力を仰ぎながら優先的に進めていく。とくに迷彩模様をもつ稀少種ムシフグについては、初夏の産卵シーズンに重点的なサンプル収集を行い、複雑な模様パターンと属内系統関係との関連の詳細な解析へと繋げたい。また、あわせて成熟個体の生体サンプル確保にも努め、可能であれば人工交雑実験を試みる。一方、数理モデルに基づくシミュレーション環境の構築と模様関連候補因子の解析についても引き続き進めていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究対象である稀少種ムシフグの試料個体採集が当初の見込みを下回り、次年度の産卵シーズンに引き続き採集を試みる必要が生じたため、一部研究費の次年度への繰り越しを行っている。試料採集のための物品費・旅費および分析費等に充当する予定である。サンプル収集・解析を効率的に進めるべく、収集対象地域の拡大、各地の漁協・水族館等との連携強化、及び解析手法の変更を検討している。
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Research Products
(3 results)