2011 Fiscal Year Research-status Report
色彩の進化生物学―マルチスペクトル画像とパターン認識工学を用いた革命的アプローチ
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23770094
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Research Institution | Yamashina Institute for Ornithology |
Principal Investigator |
山崎 剛史 (財)山階鳥類研究所, 自然誌研究室, 研究員 (70390755)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 鳥類 / 色彩 / 進化 / マルチスペクトル画像 / パターン認識工学 / 系統比較法 |
Research Abstract |
本研究は、リモートセンシングの技術を使用して撮影した鳥類のマルチスペクトル画像(デジタル画像の各ピクセルに通常のRGB値ではなく、分光スペクトル情報を割り当てたもの)に対し、パターン認識工学の手法を適用することで各種画像特性値を求め、さらに近年高度な発達を遂げた系統比較法を用いることにより、類縁関係の影響を適切に取り除いた画像特性値の種間比較を実施、鳥類の色彩進化の謎を解明することを目指している。平成23年度はマルチスペクトル画像データの蓄積を進めるとともに、主にその解析手法の開発に取り組んだ。現在使用しているマルチスペクトル画像撮影装置は紫外光・可視光の領域を21の区間に区切って反射率を記録している。これにピクセルの位置情報(xy座標)を加えた23次元ベクトルの集合によって鳥類の色彩が表現されている。まず、任意のピクセル間の色彩の差を定量化するため、分光スペクトル情報(=21次元ベクトル)に基づき、ユークリッド距離、マンハッタン距離、マハラノビス距離などが求められ、色彩変異の解析を行うという観点からそれぞれの長所と短所の検討がなされた。また、鳥類やその他の動物の視物質特性を考慮して色彩距離の補正を行う手法も開発した。さらに、ピクセルのランダムサンプリングを組み合わせることによって、画像内(標本内)の色彩多様度、画像間(標本間)の色彩差を客観的に定量化することができるようになった。このほか、さらに有効な解析手法を開発するべく、上記の23次元ベクトルに対し、主成分分析、正準判別分析、クラスター分析等、各種多変量解析手法を適用し、結果の解釈を試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新開発したマルチスペクトル画像撮影装置に問題が生じ、その改善に時間を要したこと、問題解決以前に蓄積したデータの破棄を余儀なくされたことが計画実施の遅れの理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
マルチスペクトル画像撮影装置の不備は平成23年度中に改善されたので、データ蓄積にマンパワーを投入してスピードの向上を図る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
データ蓄積の任にあたる研究補助員の雇用に研究費の大半を割くとともに、撮影対象である鳥類標本の新規採集にも力を注ぐ。
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