2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23770096
|
Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
堤 千絵 独立行政法人国立科学博物館, 植物研究部, 研究員 (30455422)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
|
Keywords | 着生植物 / 寄生化 / 菌根菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
着生シダ植物ヒトツバ属(Pyrrosia)には、樹幹着生種(ヒトツバなど)、枝先着生種(P. lanceolataなど)、宿主を枯死させる推定略奪寄生種(P. piloselloides)が知られる。宿主枝の枯死は、推定略奪寄生種の宿主への寄生化が原因の可能性がある。そのためヒトツバ属において、樹幹から枝先への着生化(過程A)、および、着生から寄生化(過程B)、という2つの進化がおこったという仮説をたてて、それらを検証することを目的に研究を行っている。 本年度は、かねてより行なっていた推定略奪寄生種P. piloselloidesと宿主の生育状況変化について、引き続きボゴール植物園にて調査し、成長を観察記録した。結果は現在まとめているところである。また、ヒトツバ属の複数種について葉緑体rbcL領域の解析を行なった。さらに、P. piloselloidesの固着した宿主枝は弱体化することが知られ、その原因はP. piloselloidesの寄生化ではなく、P. piloselloidesの菌根菌による病害が原因である可能性が指摘されている。この可能性についても検証するために、P. piloselloidesの菌根菌と、宿主枝に頻出する菌を明らかにするために、P. piloselloidesの根と宿主の枝をサンプリングし、それぞれ菌に特異的なプライマーを用いて核ITS領域を増幅し、菌の解析を行なった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
P. piloselloidesの根と宿主枝の菌根菌の解析が予想以上に遅れてしまった。TAクローニングによるITS領域の解析を実施しているが、プライマーとの相性など条件設定に予想以上に時間がかかってしまった。
|
Strategy for Future Research Activity |
条件設定に時間を要した菌の解析については、少しずつデータが出始めたところである。これらのデータを取得しつつ、引き続きP. piloselloidesの根と宿主組織の解剖学的観察、およびP. piloselloidesの系統解析について実施する。
|
Causes of Carryover |
1年半にわたる産休および育休取得に伴い研究計画を2年間延長し、今年度が延長1年目、次年度が延長2年目にあたる。延長2年間で計画を遂行するために、延長2年目となる次年度へ予算を繰り越したため、次年度使用額が生じたものである。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
延長2年目となる次年度に予定している形態解析調査、系統解析調査、菌根菌の同定調査等に予算を執行する。
|