2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23770101
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Research Institution | (財)高知県牧野記念財団 |
Principal Investigator |
田中 伸幸 公益財団法人高知県牧野記念財団, その他部局等, 研究員 (40393433)
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Keywords | ショウガ科 / 熱帯モンスーンアジア / 種多様性 / 新種 / 系統 |
Research Abstract |
ショウガ科は有用植物を多く含むグループであるが、東南アジア大陸部に自生するショウガ科の種多様性はいまだ十分に解明されていない。そこで本年度は、特にヘディキウム(Hedychium)属およびボエセンベルギア(Boesenbergia)属について、現地調査で収集した標本資(試)料および主要標本館に収蔵される標本調査などを基に系統分類学的研究を行った。また、同属について、ミャンマーの調査で採集した標本を分類学的に検討し、同地域の標本およびタイプ標本を多く収蔵するイギリスの英国王立キュー植物園(K)およびロンドン自然史博物館(BM)において関連標本の調査を行った。 その結果、ミャンマーには現段階で少なくとも22種のヘディキウム属が分布することが明らかとなった。そのうちHedychium densiflorum、H. gardnerianum, H. griffithianumおよびH. flavescensの4種は今回新たにミャンマーから記録された新産種である。 さらに、西部チン州ナマタン(ビクトリア山)国立公園および北部カチン州フーコン河谷で採集したHedychiumはそれぞれ新種と考えられた。そこで、これら未記載の2分類群を中心に、先行研究(Wood et al. 2002、Kress et al. 2010など)によってデータバンクに登録されている近縁分類群の配列データと共に核rDNA ITS領域の塩基配列に基づく系統解析を行った。系統解析の結果、ナマタン産の新種(H. natmataungense, ined)は、異なる系統であるが同地域に分布するH. coccineumとH. ellipticumの雑種起源であると推定された。一方、カチン州産の新種(H. kachinense, ined.)は形態的および系統的にインドから東南アジア大陸部に分布するH. villosumに近縁であることが示唆された。一方、ミャンマー北部からボエセンベルギア属のBosenbergia prainianaに近縁と考えられる新種が明らかとなった。今後、ショウガ科の種多様性研究には交雑起源を十分に考慮する必要があると考えられる。
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Research Products
(2 results)