2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23770107
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊藤 桜子 東京大学, 放射光連携研究機構, 特任助教 (60597152)
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Keywords | タンパク質 / 生体膜 / 立体構造解析 / 膜融合 |
Research Abstract |
真核生物の細胞内では、積み荷を積んだ多数の小胞が、それぞれの標的膜を目指して移動している。どのようにしてそれぞれの小胞は、目的とする標的膜を正確に見つけて融合するのだろうか? 真核生物で60種も存在するRabファミリータンパク質は、小胞・標的膜表面に存在して各膜系の属性を示している。SNAREタンパク質は標的膜との融合を行う因子であり、こちらも小胞や膜の種類に依存して複数の相補的な組み合わせがある。本研究では、真核生物の膜系の融合を制御するRabとSNAREに着目して立体構造的観点で研究を遂行した。Rabは翻訳後に付加される脂質基によって膜に挿入されるが、この膜挿入をPra1という膜タンパク質が触媒すると提唱されている。興味深いことに、Pra1とSNAREタンパク質VAMP2が相互作用するという報告があり、RabとSNAREの協働機構を示唆している。これまでに、立体構造解析に適したPra1の調製を進めた。既に安定なPra1サンプルを調製することに成功して結晶を得ているが、立体構造解析可能な分解能を得ることができていない。そこで、Pra1配列の検討や、結晶化しやすい分子との融合タンパク質の調製を行った。これまでに、さまざまな長さ(アミノ酸配列)のPra1の結晶や、融合タンパク質の初期結晶を得ることに成功している。今後はこれらの結晶を用いてX線回折実験を行い、立体構造決定へと進行したい。更に、Pra1に対するモノクローナル抗体を複数作製し、構造解析に適すると考えられる抗体を選別した。この抗体を用いてPra1との複合体の結晶化を試みている。 VAMP2に関しては、昆虫細胞でPra1との共発現を試みたが発現が見られていない。現在、大腸菌で大量発現したVAMP2を、精製後にPra1と混合して複合体を調製することを検討している。
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