2011 Fiscal Year Research-status Report
RecQヘリカーゼによるテロメア維持機構の構造研究
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23770118
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
北野 健 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教 (40346309)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | タンパク質 / X線結晶構造解析 / ヘリカーゼ / ウェルナー症候群 / ブルーム症候群 / 三量体Gタンパク質 / 阻害剤 |
Research Abstract |
ウェルナー症候群とブルーム症候群は,常染色体劣性のまれな遺伝病である。両患者の細胞には,テロメアの急速な短縮など,ゲノム DNA の不安定化が顕著に認められる。発症の原因はそれぞれ,WRN ヘリカーゼ(Werner syndrome protein)と BLM ヘリカーゼ(Bloom syndrome protein)に変異が起こり,機能欠損してしまうことが原因である。本研究では,WRN,BLM 両タンパク質と DNA の複合体立体構造を決定し,テロメア DNA 巻き戻しの仕組みを明らかにすることを目指す。 今年度はまず,結晶化に用いるタンパク質ドメインを,大腸菌によって大量発現させ,クロマトグラフィーを用いて高純度に精製する作業を行った。同時にテロメア配列の一本鎖 DNA を受託合成し,アニーリングによって結晶化用 DNA 試料を調製した。様々な組成のバッファー(緩衝液)を用いて,X線結晶構造解析に必要な結晶化条件の検索を行った。複合体の結晶はまだ得られていないものの,結晶化に有利に働くと考えられる条件の選定を進めることができた。 また,2010 年に研究代業者らがX線構造決定に成功した,三量体 G タンパク質と阻害剤 YM-254890 の複合体構造(Nishimura, A.*, Kitano, K.*, et al., 2010, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.; *Equally contributed.)を用いた,新たな計算解析の研究も行った。WEB 上のデータベースや,専用ソフトウェアを用いて阻害剤作用機構を調べた結果,YM-254890 がくさびのようにタンパク質のドメイン間に挟まって,三量体 G タンパク質の運動を阻害するという,阻害剤作用の新しい仕組みを提唱することができた。この研究成果は,国内のふたつの研究会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画していた作業のうち,目的タンパク質の大腸菌を用いた大量発現,クロマトグラフィーによる高純度精製,そしてアニーリングによる結晶化用 DNA 試料の調製は,おおむね順調に進んでいる。ただし,複合体の結晶はまだ得られていない。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き,タンパク質試料の調製作業を行う。同時に,配列や長さを多様に変化させた DNA オリゴを合成することによって,より系統的な結晶化条件の探索を試みる。結晶が得られれば,ただちに,兵庫県の大型放射光施設スプリング-8,または高エネルギー加速器研究機構 (KEK) に出張して,高輝度X線を利用したX線回折実験を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
未使用額が生じた要因は,結晶化実験の進捗状況に合わせ,予算執行計画を変更したことに伴うものである。 今後,未使用額を含めた研究費は,タンパク質試料の調製に必要な生化学試薬や消耗品の購入,多種類の DNA オリゴの受託合成費,X線解析の作業に用いる消耗品の購入,スプリング-8または高エネルギー加速器研究機構 (KEK) への国内旅費とビームライン使用料,国際学会で研究成果を発表するための海外旅費,などに使用する予定である。
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Research Products
(5 results)