2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23770119
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
平野 良憲 奈良先端科学技術大学院大学, バイオサイエンス研究科, 助教 (50452529)
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Keywords | 細胞内輸送 / 積み荷認識 / 軸索ガイダンス / モータータンパク質 / 結晶構造解析 / 分子複合体 |
Research Abstract |
ミオシンによる積み荷輸送は,タンパク質やオルガネラを適切な場所へ運び,細胞での配置を規定するために不可欠なプロセスである.ミオシンはC末端側のtail領域のドメイン構造の多様性によって種々のシグナル伝達に応答している.しかし,現在までにミオシンのモータードメインの機能および構造研究は盛んに行われてきたが,これに比してtail領域の機能・構造解析は遅々として進んでいない.Unconventionalミオシンの1つmyosin-Xは,tail領域に存在するMyTH4-FERMドメインを介して微小管認識や選択的積み荷輸送などを行っている.そこで本研究ではMyosin-Xと積み荷分子との複合体の立体解析を行い,原子レベルで特異的な認識機構を明らかにすることを目的としている. 前年度までにmyosin-Xの積み荷輸送を担うMyTH4-FERMドメインと,その積荷分子であり軸索誘導のガイダンス分子であるネトリンの受容体DCCの複合体の立体構造解析を行い、その積荷認識機構の一端を明らかにした. 本年度は,myosin-Xの積荷分子の1つであり,細胞と細胞外マトリックスを接着する重要な接着分子integrinβ5がmyosin-Xと比較的強く結合することを明らかとした.積み荷分子であるintegrinβ5とDCCの間にはアミノ酸配列の相同性が見られないことから,myosin-Xはそれぞれの積荷分子を異なる相互作用様式で認識していることが示唆される.そのため当初の予定では,本年度に微小管の構成因子tubulinとの共結晶化実験並びに立体構造解析を行う予定であったが,myosin-Xとintegrinβ5の結合様式を明らかとするため,生化学的解析および共結晶化実験を優先して行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の最大の目標であったmyosin-XのMyTH4-FERMドメインと積荷分子複合体の立体構造解析に成功した.積荷認識機構の一端を明らかた成果について論文としてまとめて,公表できた.これに加えて、研究計画では予定していなかった別な積荷分子integrinβとの相互作用様式についても研究を発展させて推進しているため,当初の計画以上に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
今後はインテグリンβ5とmyosin-Xが比較的強く結合することが明らかとなったので,積荷分子の認識機構を明らかにするため,複合体の立体構造解析を行う.また微小管認識機構解明のため,微小管の構成タンパク質であるtubulinとの複合体の結晶化スクリーニングも推進する.これら構造解析を進めて、myosin-Xによる分子認識機構の多様性の解明を目指す.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究の進捗状況に応じて研究期間の延長を行って予算執行計画を変更したため,未使用額が生じた.未使用額は、myosin-Xとtubulinの共結晶化および立体構造解析のための結晶化試薬や生化学実験の試薬など消耗品の購入を予定している.また学会での成果発表や放射光施設でのX線回折実験のための旅費にも使用する.
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