2012 Fiscal Year Annual Research Report
リバースグライコミクス的手法を用いた抗癌剤耐性獲得の簡易迅速診断法の開発
Project/Area Number |
23770120
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中の 三弥子 広島大学, 先端物質科学研究科, 准教授 (40397724)
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Keywords | 糖鎖 / 癌 / 構造解析 / 薬物耐性 / 白血病 / 微小管脱重合阻害薬 |
Research Abstract |
白血病の治療は抗癌剤を用いた化学療法が主であるが、それらの抗癌剤に耐性を示してしまう場合がある。その主な原因の1つに、細胞膜上の排出ポンプ機能を持ったタンパク質であるABCトランスポーターの増加があげられる。しかし、白血病治療で最も良く用いられる微小管作用抗癌剤に耐性を示した白血病細胞株では、このトランスポーターの増加は観察されないという報告もある。このように様々な耐性の機構が解明されつつあるものの、その基礎研究の成果が十分に臨床に反映されていないのが実情である。よって、本研究では抗癌剤耐性の制御機構の解明②を行い、その制御分子①を用いた抗癌剤耐性獲得の簡易迅速診断法の開発③を行うことを目的とした。1年目は抗癌剤耐性の制御分子①の探索を行った。我々は、3種の微小管作用抗癌剤に耐性を持った白血病細胞株(CEM細胞)を作成し、耐性獲得前後で変化した細胞膜上分子の探索を行った。その結果、耐性を持ったCEM細胞ではシアリル化糖鎖が減少していることを発見し、その結果を論文に発表した。さらに我々は、そのシアリル化糖鎖の減少はシアリル糖転移酵素のmRNAの減少によるものであることを明らかにした。2年目では、デオキシエポチロンB耐性の機構の解明②を行うために、糖鎖構造が既知のモデル細胞を用いて耐性獲得との因果関係を調べた。その結果、細胞膜上の糖鎖が変化することにより耐性を持ってしまうことが示唆された(未発表)。我々は、これをさらに確かめるためにCEM細胞にシアリル糖転移酵素を導入し、その発現と耐性獲得の関係を現在調べている。また、抗癌剤耐性獲得の簡易迅速診断法の開発③においてレクチンを用いた糖鎖構造変化測定が有用であるということを発見した(未発表)。今後、②と③においてさらに実験を進め臨床応用につながる結果を出す予定である。
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Research Products
(3 results)