2011 Fiscal Year Research-status Report
超高分解能X線および中性子線結晶構造を基盤とした銅含有アミン酸化酵素の反応解析
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23770127
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
村川 武志 大阪医科大学, 医学部, 助教 (90445990)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | アミン酸化酵素 / トパキノン / 中性子線 / X線 |
Research Abstract |
本研究は銅含有アミン酸化酵素(AO)について,反応中間体の超高分解能X線結晶構造解析,および中性子線結晶構造解析を中心とした研究によって,タンパク質のダイナミクスによる酵素触媒反応の進行の詳細を明らかにすることを目的にする.本年度は基質シッフ塩基中間体アナログのX線結晶構造解析を行い,その複合体構造から反応中間体モデルを形成する上での初期構造を得ることを試みた.3種類のヒドラジン誘導体,ベンジルヒドラジン(BH),4-ヒドロキシベンジルヒドラジン(4HBH),及びフェニルヒドラジン(PH)について,AOとの複合体の結晶を調製した.結晶顕微分光及び回折データを解析した結果,得られた阻害剤複合体が基質シッフ塩基中間体に類似したヒドラゾン型であることが判明した.また,基質シッフ塩基中間体のCαからのプロトン引き抜きに関与する触媒塩基Asp298の側鎖カルボキシル基の酸素原子と複合体ヒドラゾンのN2原子(基質アミンでのCαに相当する)の距離は,PHは,BHおよび4HBHに比べ約2倍であった.これらの阻害剤に対応するアミン基質について,遷移相の速度解析を行った結果,プロトン引き抜き過程において,PHに対応するベンジルアミンの速度定数は,BHおよび4HBHに対応するフェニルエチルアミンおよびチラミンに比べ,約1/1000の値を示し,ヒドラジン複合体構造におけるAsp298の位置は,対応するアミンの反応性の違いをよく説明できるのではないかと考えられた.本年度の研究により,詳細な反応中間体モデルを形成する上での初期構造を得ることが出来た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
X線結晶構造解析については超高分解能データをとるための条件がほぼ確立し,基質アナログを用いた反応中間体アナログ構造のデータをとることに成功した.中性子線構造解析については東日本大震災の影響により研究用原子炉が停止しているため回折測定ができない状況であるが,測定用の大型結晶の作成に成功しており原子炉再起動後にはすぐに測定可能である.
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Strategy for Future Research Activity |
X線結晶構造解析については実際の基質を用いた反応中間体構造の決定を試みる.中性子線構造解析についてはより大型で高品質の結晶を得ることを試みる.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
結晶調製用の試薬および測定施設(SPring-8, 日本原子力研究開発機構)までの旅費に使用する.
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Research Products
(3 results)