2013 Fiscal Year Annual Research Report
超高分解能X線および中性子線結晶構造を基盤とした銅含有アミン酸化酵素の反応解析
Project/Area Number |
23770127
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
村川 武志 大阪医科大学, 医学部, 助教 (90445990)
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Keywords | 超高分解能X腺結晶構造解析 / 中性子線結晶構造解析 |
Research Abstract |
銅含有アミン酸化酵素は,生物界に広く分布し種々の生理活性アミン類の酸化的脱アミノ反応を触媒する.本研究は土壌細菌Arthrobacter globiformis由来の銅含有アミン酸化酵素(AGAO)について,超高分解能X線結晶構造解析,および中性子線結晶構造解析を中心とした解析により,タンパク質のダイナミクスによる酵素触媒反応の進行の詳細を明らかにすることを目的にする.本年度は超高分解能X線結晶構造解析および中性子線結晶構造解析に向けた大型結晶の調製を行った. X線結晶構造解析について,抗凍結剤を以前使用していたグリセロールからPEG200に変えることによって,これまでの分解能(1.8 オングストローム)を大幅に超える分解能1.08 オングストロームの高分解構造を決定することに成功した.タンパク質分子周辺には多数の低分子量PEG分子が存在し,入り込んだPEG分子によりタンパク質分子の揺らぎが抑えられたことが分解能の向上に寄与したと考えられる.また,全体の約4割の水素原子の電子密度を検出し,多くのアミノ酸残基がdouble conformerをもつことを明らかにした.さらに異方性温度因子の解析により,活性中心残基の協奏的な揺らぎを見出したほか,活性中心付近において,基質である酸素分子と考えられる電子密度を観測した.以上,得られた精密な立体構造情報に基づき,AGAOの構造変化や揺らぎを伴う反応機構,特に基質酸素分子の活性中心への進入機構について新たな知見を得た.また未発表データであるが,結晶への基質ソーキング法を用いた反応中間体構造においても1.12 オングストロームの高分解能の回折データの取得に成功している. 中性子線構造解析については東日本大震災の影響により研究用原子炉が停止しているため研究が遅れていたが,平成26年度のJ-PARCでの測定課題に採択され,また測定用の大型結晶の作成(最大7 mm3)に成功している.
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Research Products
(2 results)