2011 Fiscal Year Research-status Report
脊椎動物キネトコア複合体CENP-T/WおよびCENP-S/Xの構造生物学
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23770128
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
西野 達哉 国立遺伝学研究所, 分子遺伝研究系, 助教 (50533155)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 生物物理 / 分子認識 / 蛋白質 |
Research Abstract |
本研究申請の目的は脊椎動物キネトコア構成因子CENP-TWとCENP-SXの構造と機能の関係を明らかにし、これら蛋白質複合体が正常な染色体分配にいかに寄与するかを解明する事にある。本年度はCENP-TW及びCENP-SXの結晶構造を決定した。立体構造解析の結果、CENP-TWは2量体、CENP-SXは4量体であった。CENP-TWおよびCENPSXはどちらもヒストンフォールドであった。興味深い事にCENP-SXとCENP-TWの立体構造を比較すると4量体形成に関わるアミノ酸残基がCENP-Tにおいても存在した。この事からCENP-SXとCENP-TWが相互作用する可能性が考えられた。実際両蛋白質複合体を混合すると、安定な複合体を形成した。4量体の界面に存在するアミノ酸に変異を導入すると複合体形成が阻害された。この複合体の詳細を原子レベルで明らかにするため、結晶化を行った。その結果、二つの異なる結晶系に属する結晶を得る事に成功した。CENP-SXおよびCENP-TWの立体構造を使って分子置換法により構造解析したところ、二つの結晶はいずれもCENP-TWSXへテロ4量体で、CENP-SとCENP-Tが相互作用していた。生化学的解析よりCENP-TWSXへテロ4量体はCENP-TWやCENP-SXと異なる蛋白質-DNA複合体を形成していた。またCENP-TW, SX, TWSXともにDNAにスーパーコイルを導入する活性があり、ヒストン同様ヌクレオゾーム様構造を形成する事がわかった。細胞生物学的解析よりヘテロ4量体が形成できない細胞では正常なキネトコアが形成できない事がわかった。以上の結果より脊椎動物においてCENP-TWSX複合体がユニークなクロマチンを形成し、キネトコア構造形成に重要な役割を果たす事が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画ではCENP-TW及びCENP-SXの立体構造を解析した後に相互作用するDNAや蛋白質との構造解析を行う予定であったが、今年度の解析の結果、二つの蛋白質が相互作用し、さらには両者の複合体の結晶化。構造決定に至った。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は当初計画にあるDNAやヌクレオゾームとの共結晶化を目指すとともに他の相互作用因子についても複合体結晶化や生化学的解析を通してCENP-SX, CENP-TW複合体の更なる構造と機能の相関を明らかにしていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
CENP-SXとDNA、CENP-TWとDNAの立体構造解析のため、蛋白質やDNAの発現、精製、結晶化、構造解析に必要な試薬、合成DNA、蛋白質精製カラム、結晶化試薬を購入する。またX戦回折データ取得のための放射光施設への旅費及び研究成果発表のための学会参加費用を予算申請する。
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Research Products
(9 results)