2012 Fiscal Year Annual Research Report
クラスリン小胞輸送の機能障害は造血器腫瘍の原因となる
Project/Area Number |
23770137
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
昆 俊亮 東北大学, 加齢医学研究所, 助教 (70506641)
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Keywords | 細胞内小胞輸送 / SMAP1 / 骨髄異形成症候群 / 白血病 |
Research Abstract |
(1)SMAP1(-/-)マウスの表現型解析 33匹の老齢SMAP1(-/-)マウスを解析した結果、1.16匹には特段異常は認められない 2.10匹は骨髄異型性症候群(MDS)を発症 3.2匹はMDSと骨髄増殖性疾患(MPD)を併発する複合疾患 4.5匹は急性白血病を発症 であった。続いて、各種分子の輸送実験を行った結果、SMAP1欠損細胞でトランスフェリンの取り込みが優位に亢進することを見出した。一方、増殖因子受容体であるc-Kitのエンドサイトーシスに違いは認められなかったが、multi-vesicular body (MVB)からリソソームへの輸送が著しく遅延していた。さらに、蓄積したc-Kitは下流のアダプター分子であるGrb2と会合した状態で存在しており、c-Kitシグナルが増大・継続していた。これらのことより、トランスフェリンやc-Kitの輸送異常に代表されるクラスリン輸送系の脱制御が素因となって、MDSならびに白血病を引き起こすことを個体レベルで初めて実証した。 (2)SMAP1(-/-)マウスのMDS/AML病型とヒトMDS/AMLとの比較 ヒト白血病細胞株14株、ヒトMDS 54検体について、smap1遺伝子翻訳領域のシークエンス解析を行ったが、当該領域の塩基配列変異は認められなかった。 (3)MLL-SMAP1キメラがクラスリン輸送系に与える影響の検討 MLL-SMAP1をCOS7細胞に過剰発現すると、SMAP1もしくはクラスリンの局在が変化し、トランスフェリンの取り込みが阻害されることを見出した。 (4)SMAP1(-/-)マウスのMutagenesis実験 マウス白血病ウイルス(Molony株)の感染実験を行ったが、野生型とSMAP1(-/-)マウスとで白血病の発症時期・発症種に違いが認められなかったため、協調遺伝子の探索を行えなかった。
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