2012 Fiscal Year Annual Research Report
非定型カドヘリンの細胞外領域リン酸化の生理機能の解明
Project/Area Number |
23770139
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
石川 裕之 千葉大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (00398819)
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Keywords | ショウジョウバエ / カドヘリン / ゴルジ体キナーゼ / リン酸化 / 翻訳後修飾 |
Research Abstract |
非定型カドヘリンFatは、ショウジョウバエの発生において組織の成長と平面細胞極性を制御する。Fatは細胞外領域にカドヘリンドメインの繰り返し構造を有するが、そのうちのいくつかのカドヘリンドメインに存在するセリン残基は、ゴルジ体キナーゼFour-jointedによりリン酸化される。我々はこれまでに、Four-jointedによるFatの細胞外カドヘリンドメインのリン酸化は、Fatの機能を調節することを生化学的に明らかにした。そこで、Fatの生体内での機能発現に必要なカドヘリンドメインのリン酸化部位をショウジョウバエを用いた遺伝学的な解析により同定することを試みた。 fat遺伝子を含む約40 kbのBACクローンは、ショウジョウバエfat突然変異体の表現型を救済することができる。そこで、ショウジョウバエからヒトにいたるまで種間で保存されているFatの3番目のカドヘリンドメインのセリンを、リン酸化を受けないアラニンに置換した変異型fatのBACクローンを作製した。このBACクローンを形質転換したトランスジェニックショウジョウバエを作製し、fat突然変異体の表現型を救済できるか調べた。その結果、この変異型fatのBACクローンは、fat突然変異体の致死性を救済したものの、成虫においてfat突然変異体の表現型が観察された。そこで、種間で保存されている残り2箇所のカドヘリンドメインのセリンをアラニンに置換したBACクローンを作製し、同様の実験を行ったところ、3番目のカドヘリンドメインのセリン1箇所に変異を導入した場合と比較して顕著な差はみられなかった。本研究により、Fatの3番目のカドヘリンドメインのリン酸化は、ショウジョウバエにおいてFatの正常な機能発現および正常な発生に必要であることを明らかにした。
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Research Products
(6 results)