2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23770153
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
青山 智英子 獨協医科大学, 医学部, 助教 (90420778)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 脂質 / 酵素 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
リゾホスファチジン酸(LPA)は細胞増殖や細胞運動などの様々な生理現象に関わることが知られている生理活性脂質であるが、その産生のメカニズムについては不明な点も多い。我々はリゾホスファチジルコリン(LPC)からLPAを産生するリゾホスホリパーゼD(lysoPLD)活性を持つ新たなタンパク質をラット脳より精製し、その本体が三量体Gタンパク質のGαqおよびGβ1である事を明らかにしてきた。 タグ融合Gαqタンパク質からはラット脳由来lysoPLDと同様の活性が検出されるが、Gαサブユニットには他にもGαs, Gαi, Gα12といったサブファミリーが存在する。これらをタグ融合タンパク質として発現・精製した時にlysoPLD活性を検出するサブファミリーは限られ、また同じGαqサブファミリーの中でも活性を持つものと持たないものが存在していた。 Gαqタンパク質は翻訳後パルミトイル化を受けこれが細胞内局在に影響し、ひいてはシグナル伝達に影響する事が知られている。Gαqの翻訳後修飾部位に変異を導入した精製タグ融合タンパク質からはlysoPLD活性が検出されなかった。また精製後に脱パルミトイル化酵素を作用させたタグ融合Gαqタンパク質のlysoPLD活性には変化がなかった事から、lysoPLD活性には修飾自体ではなく、修飾により変化する細胞内局在がlysoPLD活性に影響を与えることが示された。以前の研究からもlysoPLD活性には他の因子の影響が示唆されており、細胞内局在がこの因子との相互作用に影響する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に計画していたタグ融合タンパク質と共に精製されてくるタンパク質の解析は、精製量が微量である事などから当初の予定よりやや遅れ気味である一方、次年度に予定していたGαのサブファミリーの解析については前倒しで進んでいると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究からGαqばかりでなく他のGαサブユニットもlysoPLD活性を持つことが示唆された事から、これらのlysoPLD活性について基質特異性などその詳細を解析していく。 タグ融合Gαqと共に精製されるlysoPLD活性に重要な相互作用分子の解析は、その量が微量である事がネックとなっている。そこで発現手法や精製法を工夫する事により改善を試みる。また他のGαサブファミリーでもlysoPLD活性が見られた事から、これらに共通する相互作用分子から候補を絞り込む。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度に使用する研究費が生じたのは、主に既にある試薬や共通物品の利用等による効率の良い研究費の使用の結果であると考える。次年度にはタグ融合タンパク質の発現量を改善するため多くのトランスフェクション試薬、あるいは新たな発現ベクターの購入などが予定される。また相互作用分子を解析するにあたりそれぞれの特異的抗体の購入が必要になるため、研究費の使用は主に試薬、消耗品の購入に当てる事を予定している。
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