2012 Fiscal Year Annual Research Report
新規光学技術を用いた糖脂質と膜受容体の相互作用解析
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23770155
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
樺山 一哉 東海大学, 糖鎖科学研究所, 准教授 (00399974)
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Keywords | 糖脂質 / 脂質タンパク質相互作用 / FCS / 蛍光相関スペクトル法 / 蛍光顕微鏡 / 共焦点 / スフィンゴ脂質 |
Research Abstract |
蛍光相関スペクトル法(FCS; Fluorescence correlation spectroscopy)は顕微鏡の焦点領域を通過する蛍光分子の発するフォトンのゆらぎを相関関数に置き換えることで、目的分子の拡散係数や分子量、さらには分子の大きさまで計測できる手法であり、近年多くの著名な論文において分子動態計測の報告がなされている。しかしながらその測定原理を理解するのは難しく、さらに装置が高価であることも要因となってバイオロジーの分野に今ひとつ浸透していないのが現状である。そこで申請者はこの現状を打破するために、FCSでもちいる高感度の電子増倍管APDの代わりに一般の共焦点顕微鏡に用いられるPMTを用いて光の揺らぎを計測し、APDの正確性をPMTで補償するために取得データを分割し平均値から評価するというGrattonらが提唱する方法を用いて糖脂質-タンパク質相互作用解析を試みた。原理は、ある別々の蛍光分子(あるいは蛍光標識した分子)が相互作用を有しない場合、顕微鏡の焦点領域を異なる時間に通過する。この場合、分子から発せられる蛍光は時間軸において同時性をもたないので、相互相関関数が上昇しない。一方2つの蛍光分子が相互作用している場合、同時に焦点領域を通過するため、相互相関関数が上昇する。この値の比較から相互作用の有無を測定する。上記測定法を用いて、ガングリオシドGM1とコレラトキシンのpoint scan FCCSによる相互作用の検証をおこなった。その結果、BODIPY-FLにより標識されたガングリオシドGM1とAlexa647により標識されたコレラトキシンBサブユニット(CTX)に顕著な相互相関が現れた。ネガティブコントロールとして用いられたグルコシルセラミド(GlcCer)、ラクトシルセラミド(LacCer)、スフィンゴミエリン(SM)には相互相関は見られなかった。
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