2011 Fiscal Year Research-status Report
2成分K+/H+アンチポーターYhaTUの大量精製系の確立と作用機序の解明
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23770156
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
藤澤 誠 東洋大学, 生命科学部, 助教 (70549641)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | K+/H+アンチポーター / 枯草菌 |
Research Abstract |
枯草菌が持つ2成分K+/H+アンチポーターYhaTUシステムは親水性タンパク質であるYhaTと膜タンパク質であるYhaUからなる新規性の高いカチオン/プロトンアンチポーターである。YhaTのN末端側にStreptTagIIを、YhaUのC末端側にHis6タグを付与したペプチドタグ融合型YhaTUはK+/H+アンチポート活性を保持している。このペプチドタグ融合型YhaTUを用いて、YhaTとYhaUが相互作用していることは、すでにプルダウンアッセイとブルーネイティブゲル電気泳動により確認している。本研究では、このペプチドタグ融合型YhaTUの精製系の構築および部位特異的変異導入による機能解析を行うことを目的としている。 タンパク質の精製系の構築として、平成23年度には、(1)大腸菌内での発現条件の検討、(2)細胞膜からタンパク質を可溶化するための界面活性剤の種類の選択、(3)界面活性剤の濃度の検討、(4)Ni-NTAを用いたアフィニティークロマトグラフィー(IMAC)によるタグ融合型YhaTUの精製を試みた。これらの結果、タグ融合型YhaTUシステムはIMACでの精製過程において、その大部分がYhaTとYhaUに分離してしまうことが明らかとなった。そこで、YhaTとYhaUを別々に精製する方法と、YhaTUの複合体の精製系の条件検討を進めることとした。これまでに、YhaTのC末端側にHis6タグを付与した融合タンパク質をIMACで精製できることを確認した。 YhaTUシステムの部位特異的変異導入による機能解析では、予定している70変異のうち34変異を取得することに成功した。平成24年度は、残りの変異の取得を完了することを目標とする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
YhaTUシステムの精製系の構築においては、YhaTとYhaUの大半が精製過程で分離してしまうことが明らかとなったが、実験系は確立しており、今後の詳細な条件検討により当初の目的を達成することが可能であると考えている。また、YhaTとYhaUを別々に精製する方法も開始し、すでにIMACを用いたYhaT単独の精製系は確立した。 YhaTUの部位特異的変異導入による機能解析においては、予定していた平成24年度からではなく、平成23年度から開始し、すでに70変異中34変異を取得した。 以上の理由から、本研究の目的の達成度はおおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、引き続きペプチドタグ融合型YhaTUシステムの精製系の構築と部位特異的変異導入による機能解析を並行して進める。 ペプチドタグ融合型YhaTUシステムの精製系の構築においては、IMACによる精製段階の条件検討を行う。検討する項目は、pH、界面活性剤の種類、レジンの種類を行い、その結果によっては異なるペプチドタグの利用を検討する。 部位特異的変異導入による機能解析では、引き続き変異導入実験を行い、未取得の変異型YhaTU遺伝子の構築を行う。また、変異導入の完了したYhaTUシステムから順次、K+/H+アンチポート活性を測定する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度は東日本大震災の影響により、42万円の研究費を繰り越した。また、平成25年度の40万円を前倒しし、平成24年度の120万円と合わせて202万円の予算を平成24年度に使用する。 まず、ペプチドタグ融合型YhaTUシステムの精製系の構築では、界面活性剤、精製のためのレジン、タンパク質濃縮のための限外ろ過膜、ウェスタンブロッティングのための各種試薬の購入で25万円を予定している。 次に、部位特異的変異導入による機能解析では、変異導入を引き続き行う。これはシークエンス代を含めて、25万円を予定している。また、変異導入の完了したYhaTUシステムのK+/H+アンチポート活性の測定を開始する。そのために分光蛍光光度計(150万円)を導入する。分析に必要な試薬代は2万円を予定している。
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Research Products
(4 results)