2012 Fiscal Year Research-status Report
2成分K+/H+アンチポーターYhaTUの大量精製系の確立と作用機序の解明
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23770156
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
藤澤 誠 東洋大学, 生命科学部, 助教 (70549641)
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Keywords | K+/H+アンチポーター / 枯草菌 |
Research Abstract |
枯草菌が持つ2成分K+/H+アンチポーターYhaTUシステムは親水性タンパク質であるYhaTと膜タンパク質であるYhaUからなる新規性の高いカチオン/プロトンアンチポーターである。YhaTのN末端側にStreptTagIIを、YhaUのC末端側にHis6タグを付与したペプチドタグ融合型YhaTUはK+/H+アンチポート活性を保持している。このペプチドタグ融合型YhaTUを用いて、YhaTとYhaUが相互作用していることは、すでにプルダウンアッセイとブルーネイティブゲル電気泳動により確認している。本研究では、(1)このペプチドタグ融合型YhaTUの精製系の構築と、(2)部位特異的変異導入による機能解析を行うことを目的としている。 (1)においては、平成23年度の研究で、精製過程途中にYhaTとYhaUが解離してしまうことが明らかとなった。そこで平成24年度には、(i)ペプチドタグの種類と付加している場所を変更することと、(ii)IPTG発現誘導の効果の検討を行った。(i)の結果、YhaTのN末端側またはC末端側にHis6タグを付与した遺伝子とYhaUのC末端側にStrepTagIIを融合した遺伝子をクローニングすることに成功した。また、(ii)の結果、本研究で用いている発現ベクターpKK223-3では、IPTG発現誘導を行うと、むしろ細胞膜への発現量が低下してしまうことが明らかとなり、IPTG発現誘導は行わないことが適切であると結論付けた。 また、(2)においては、予定している70変異のうち54変異を取得することに成功した。残りの16変異いくつかについては、すでにポジティブクローンを取得した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、(1)YhaTUシステムの大量精製系の構築と(2)YhaTUシステムの部位特異的変異導入による機能解析の2つを行っている。 (1)に関しては、その精製過程で大部分のYhaTU複合体がYhaTとYhaUに解離してしまい、未だその原因がつかめていないことから、当初の予定よりも若干遅れている。 (2)に関しては、70箇所に部位特異的変異を導入することを目標としているが、16箇所についてはまだ取得できていない。しかしながら、主要な個所への変異導入は完了しており、これらの変異型YhaTUシステムの活性の測定は平成25年度に測定することが可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、(1)YhaTUシステムの大量精製系の構築と、(2)YhaTUシステムの部位特異的変異導入による機能解析の2つを行っている。 (1)に関しては、その精製過程で大部分のYhaTU複合体がYhaTとYhaUに解離してしまい、未だその原因がつかめていない。YhaTの中に、Rossman-foldモチーフがあることから、何らかの金属イオンまたはヌクレオチドのような化合物がYhaTU複合体の安定化に必要であると考えており、候補となる化合物を添加した状態でNi-NTAを用いたアフィニティークロマトグラフィーを行い、YhaTU複合体が解離しない条件を探す。また、精製時のpH条件についても調べ、YhaTUシステムの精製系の構築を目指す。 (2)に関しては、予定している70個の変異型YhaTU遺伝子のクローニングを完了させ、それらの活性を測定する。これにより、変異を導入した個所に位置するアミノ酸の役割を同定する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究は、(1)YhaTUシステムの大量精製系の構築と、(2)YhaTUシステムの部位特異的変異導入による機能解析の2つを行っている。平成25年度は、これらの研究に60万円の予算を執行する。 (1)では、ペプチドタグ融合型YhaTUシステムの精製系の構築では、界面活性剤、精製のためのレジン、タンパク質濃縮のための限外ろ過膜、ウェスタンブロッティングのための各種試薬の購入で30万円を予定している。 (2)では、変異導入を引き続き行う。これはシークエンス代を含めて、20万円を予定している。また、分析に必要な試薬代は10万円を予定している。
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Research Products
(1 results)