2011 Fiscal Year Research-status Report
網膜発生に関わるムチン型糖鎖の機能解明に向けたppGalNAcTの解析
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23770159
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
中山 喜明 京都産業大学, 総合生命科学部, 助教 (40512455)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 糖鎖 / 神経発生 / ゼブラフィッシュ / ムチン |
Research Abstract |
本研究は脊椎動物であり、かつ複数遺伝子の同時発現抑制が可能であるゼブラフィッシュの特徴を最大限に活かし、眼の発生におけるムチン型糖鎖の機能および生合成調節機構の解明を研究の目的としている。 初めに、ヒトでは20種類からなるムチン型糖鎖合成開始酵素であるppGalNAcTファミリーの遺伝学的解析を行った。その結果、ゼブラフィッシュゲノム上には遺伝子重複により他の魚類にも見られないppGalNAcTパラログ遺伝子が多く存在することを見いだした。特にppGalNAcT8(T8)では、哺乳類で1遺伝子、トラフグやメダカは2遺伝子(T8a, b)のパラログを有しているのに対し、ゼブラフィッシュで5種類のパラログ(T8a~e)を有していた。この結果は、ゲノム上のppGalNAcT遺伝子座の近傍には高頻度にゲノム組換えを引き起こす領域が存在することを示唆している。ppGalNAcT遺伝子メンバーが脂質代謝疾患や骨代謝異常症、先天性神経疾患等の原因候補遺伝子として同定されていることからも、この遺伝子重複機構の解明は各種疾患の病因解明へとつながる可能性を有している。 次にこれらppGalNAcT遺伝子のクローニングを試み、ゼブラフィッシュで見いだされたパラログ遺伝子cDNAの多くを単離・同定することに成功した。この中にはゲノムデータベース上の配列とは大きく異なるものも数多く存在した。さらに眼発生に関わる因子を選択するため、各遺伝子の発現時期や発現部位の検討を行ったところ、少なくとも4つのppGalNAcT遺伝子はゼブラフィッシュ初期胚の網膜領域に発現していることを明らかにした。また、アンチセンス法を用いてゼブラフィッシュ発生初期における遺伝子機能を阻害することにより、網膜発生に異常を引き起こす2遺伝子を同定することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度の研究では、全てのppGalNAcTファミリー遺伝子のクローニングを目標としていたが、その目標には至らなかった。当初の予定よりも多くのパラログ遺伝子が実際には存在していたこと、それらがゲノムデータベース上に登録されている予測遺伝子配列とは大きく異なる配列を有していたことが主な原因と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究により得られた結果をもとに、網膜に発現するppGalNAcT遺伝子の機能解析を行う。また、未だ配列決定に成功していないパラログ遺伝子の単離・同定も並行して行い、網膜発生過程で機能するppGalNAcTのさらなる探索も進めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費は、その殆どを研究用消耗品に使用する計画である。
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Research Products
(7 results)