2012 Fiscal Year Annual Research Report
網膜発生に関わるムチン型糖鎖の機能解明に向けたppGalNAcTの解析
Project/Area Number |
23770159
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
中山 喜明 京都産業大学, 総合生命科学部, 助教 (40512455)
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Keywords | ゼブラフィッシュ / 糖鎖 / 網膜 / 糖転移酵素 |
Research Abstract |
本研究課題では、タンパク質への主要な翻訳後修飾反応の一つであるムチン型糖鎖の、網膜発生・分化における機能の解明を研究の目的としている。ムチン型糖鎖の合成開始反応を触媒する糖転移酵素ppGalNAc-Tは大きな遺伝子ファミリーを形成している。冗長的に発現するこの酵素の機能解析は極めて困難であるが、申請者は以前にゼブラフィッシュを用いて神経系に特異的な複数のアイソザイムの発現を抑制したときに、網膜の発生異常が起きることを見いだしてきた。本年度は、更なるムチン型糖鎖の機能解明に向けて、ゼブラフィッシュのゲノム上に存在する全19種類のppGalNAc-T遺伝子をクローニングした。この配列をもとに、初期発生段階における各オルソログmRNAの発現を検出したところ、全てのアイソザイムが特有の組織特異性を持って神経系や筋組織、尾ひれ等に発現していることを見いだした。このうち、過去にヒトやマウスにおいて、脳・神経系に発現することが報告されている8種類のメンバーは、ゼブラフィッシュの神経初期発生時においても発現が確認されたことから、脊椎動物において神経系におけるムチン型糖鎖の機能が保存されていることが示唆された。一方で、網膜ではppGalNAc-T1,-T2,-T7,-T9,-T13,-T17,-T18の発現を確認した。特にppGalNac-T2,-T13は網膜背側領域で強い発現を確認した。以上の結果から、網膜発生において糖転移酵素が、網膜背側領域の発生、およびその後の神経細胞の特異化において重要な役割を担っていることが考えられた。
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Research Products
(3 results)