2012 Fiscal Year Research-status Report
ナトリウムイオン輸送型ATP合成酵素のイオン輸送機構の解析
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23770160
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Research Institution | Ube National College of Technology |
Principal Investigator |
三留 規誉 宇部工業高等専門学校, 物質工学科, 講師 (90431981)
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Keywords | ATP合成酵素 / 分子モーター / イオン輸送 / イオンポンプ / 膜タンパク質 |
Research Abstract |
ATP合成酵素が欠損している大腸菌DK8にaL183C cF67C、aL183C cI68C、aL184C cF67C、aL184C cI68Cの4種類の変異を導入し、ATP合成酵素を発現した。これらの変異酵素を発現した反転膜を用意し、その反転膜を酸化、還元処理した際のATP加水分解活性を調べた。ピルビン酸キナーゼと乳酸脱水素酵素を利用したATP再生系でATP加水分解活性を45度で測定したところ、野生型は0.4 unit/mgの比活性で変異酵素は0.15から0.2 unit/mgの比活性であった。 変異ATP合成酵素を発現させた反転膜を酸化剤CuSO4で酸化処理したものと、還元剤DTTで処理したものを用意して、のATP加水分解活性を測定した。酸化処理によりATP合成酵素のATP加水分解活性は15~20%ほど阻害された。この結果から、ジスルフィド結合の形成によって酵素活性を制御することができるということ、aサブユニットのL183・L184とcサブユニットのI67・F68はいずれも近い距離に存在していることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、平成24年度はFoaサブユニットとFocサブユニットの近接する残基を予測し、FoaとFocにそれぞれCysを導入した。作成した変異ATP合成酵素は、酸化処理によりジスルフィド結合形成に伴う活性の低下がみられ,近接する残基を同定することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
野生型およびaL183CcF67C、aL183CcI68C、aL184CcF67C, aL184CcI68Cの変異酵素を発現し、その変異ATP合成酵素を精製し、リポソームに再構成して、酸化、還元処理した際のATP加水分解によるH+ ポンプ活性を調べる。FoaとF cのジスルフィド結合が高い効率で形成するATP合成酵素を用いてイオン輸送と回転の関係の解析を行う。酸化状態ではイオンが輸送されず、還元状態でイオン輸送されることが予想される。同様の実験をaR226をAlaやGluに置換したものでも実験を行い、プロトン輸送型とナトリウム輸送型で違いが見られるか比較する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は、ATP合成酵素の精製と加水分解活性の測定をおこなう。精製に必要な樹脂や活性測定に必要な酵素や試薬など消耗品の購入に予算を多く使用する。
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