2014 Fiscal Year Research-status Report
ナトリウムイオン輸送型ATP合成酵素のイオン輸送機構の解析
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23770160
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Research Institution | Ube National College of Technology |
Principal Investigator |
三留 規誉 宇部工業高等専門学校, 物質工学科, 准教授 (90431981)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | ATP合成酵素 / イオンチャネル / イオン輸送 |
Outline of Annual Research Achievements |
ナトリウムイオン輸送型ATP合成酵素において、イオン輸送に関わるアミノ酸残基を明らかにすることを目的とした。そのため、P. modestum由来のナトリウムイオン輸送型のFoと好熱菌由来のF1からなるハイブリッドFoF1の発現系を用いて、ナトリウムイオン輸送機構の解析を行った。 ナトリウム輸送型ATP合成酵素のイオン輸送に関わる部位にシステイン残基を導入し、それらの残基をNエチルマレイミド(NEM)で修飾した際のATP加水分解活性、ナトリウムイオン輸送駆動のATP合成活性への影響について分析した。 イオンチャネルの候補として,aサブユニットの細胞質側のアミノ酸残基である211番目~225番目と,ぺリプラズム側のアミノ酸残基である227番目~236番目までのアミノ酸残基を,それぞれシステインに変異させた変異体を用いて、それぞれのシステイン残基をNEMで化学修飾して各測定を行った。 ATP合成活性測定の結果,A214C,G215C,A218C,K219C,I223CとN230CにおいてNEM修飾によるATP合成阻害が見られた。ATP加水分解活性測定の結果,A214C~A218C,N222C,I223C,L227CとN230C~F232CにおいてNEM修飾によるATP加水分解阻害が見られた。 各測定結果より,細胞質側 ではA214C,G215C,A218CとI223Cで,ペリプラズム側ではN230Cがイオンチャネルとして働いていることが示唆された。ナトリウムイオン輸送型ATP合成酵素は、プロトン輸送型ATP合成酵素と同様にaサブユニットに2本のハーフチャネルが形成されていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
培養設備の故障が生じ、その修理に時間がかかり、本年度の研究計画にやや遅れが生じた。実験結果を整理して論文にまとめ投稿したが、追加実験の必要性を指摘され掲載には至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
投稿論文の査読で追加実験の指摘があるので、追加実験を行い研究成果を補強する。これまでの研究成果をまとめて論文発表、学会発表を行う。
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Causes of Carryover |
試料調製を26年5-7月に行う予定であったが、26年5月に大量培養用のサンキ精機GR-128Nが故障し、使用不能となった。特注品であるGR-128Nのクッション材の取り寄せに2か月を要し、その後の稼働で、電気回路の不具合が発覚した。この修復にさらに1か月を要した。研究協力者の学生は、前期末試験、夏季研修への参加のため、試料調製の再開は9月下旬からとなった。試料調製は12月に完了したが、試料の活性測定、分析を十分に行うことができず、未使用額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究期間を1年間延長し、次年度には未使用額で、試料の活性測定と分析、データの解析とまとめ、研究成果発表を行う。具体的には、活性測定用のピルビン酸キナーゼ、ラクトースデヒドロゲナーゼ、ルシフェラーゼの購入、ウェスタンブロット用のPVDF膜、2次抗体、発色試薬の購入、学会発表のための国内旅費(1名×2件)、論文の英文校正(2件)、論文投稿(2件)に未使用額を使用する。
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