2012 Fiscal Year Research-status Report
エピジェネティクスを用いた脳特異的Oーマンノース糖鎖の発現機構の解明
Project/Area Number |
23770163
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
木塚 康彦 独立行政法人理化学研究所, 疾患糖鎖研究チーム, 基礎科学特別研究員 (20564743)
|
Keywords | 国際研究者交流 / 国際情報交換 |
Research Abstract |
本研究課題は、糖鎖を形作る糖転移酵素の遺伝子発現制御機構を明らかにすることである。各々の糖転移酵素は組織特異的に発現しているが、その詳細な機構はほとんど分かっていない。本研究では特に、脳特異的に発現している糖転移酵素GnT-IXに着目し、その発現制御機構の解明を目指している。 昨年度までの成果により、GnT-IX遺伝子の発現が脳特異的な転写因子であるNeuroD1のプロモーター領域への結合により制御されていること、またその結合はGnT-IX遺伝子領域のエピジェネティックなヒストン修飾(クロマチン修飾)によって制御されていることを明らかにしている。しかしこのヒストン修飾がどのように調節されているのかは分かっていない。 平成24年度は、このヒストン修飾のメカニズムを明らかにすること、また他の類似した糖転移酵素遺伝子の制御機構を明らかにすること、この2点を目的に研究を行った。その結果、GnT-IX遺伝子周辺のヒストンを抑制的に修飾する因子としてHDAC11が、逆にヒストンを活性化する因子としてO-GlcNAc transferaseとTET3の複合体を新たに見出した。また類似する糖転移酵素として、GnT-III, V, Fut8の3種の遺伝子の解析を試みたが、新たに見出したメカニズムはGnT-IX遺伝子に特異的なものであることがわかった。 以上の結果から各糖転移酵素遺伝子は異なるメカニズムによって制御されており、特に脳特異的なGnT-IXでは、エピジェネティックな制御を受けやすいことがわかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では、すでに昨年度までに一定以上の成果が得られ、Journal of Biological Chemistry誌に論文として受理されている。また現在、糖転移酵素の遺伝子発現を制御する新たなエピジェネティック因子を同定できている。この成果は現在論文としてまとめつつあり、平成25年度内には十分に受理される見通しが立っている。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成24年度はある程度の成果が得られたが、それらは神経系の細胞株により得られたデータがほとんどで、in vivoにおけるメカニズムの解明には至っていない。平成25年度は、マウスより単離したニューロン、アストロサイトを含む種々の初代培養細胞、またマウスの臓器を用いてクロマチン、転写因子等の解析を行うことが重要と考えられる。またGnT-IX以外の糖転移酵素のエピジェネティック制御に関して、新たな因子の探索を行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
|