2012 Fiscal Year Annual Research Report
ベータクロトーの認識する糖鎖構造にもとづく活性型FGF19の同定を目指した研究
Project/Area Number |
23770166
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Research Institution | 公益財団法人先端医療振興財団 |
Principal Investigator |
前田 良太 公益財団法人先端医療振興財団, その他部局等, 研究員 (50432399)
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Keywords | 代謝 / 電解質 / 糖鎖 / レクチン / グルクロン酸修飾 / 線維芽細胞増殖因子 / ナトリウムカリウム輸送体 / クロトー |
Research Abstract |
ヒトをはじめとするあらゆる生物個体は、電解質やエネルギーの恒常性をつねに維持することで生命(健康)を保っている。その代謝制御には、おもにふたつのクロトータンパク質に依存した系があることが明らかにされてきた。ひとつは、線維芽細胞増殖因子のシグナル伝達であり、もうひとつは、イオン輸送体の活性調節である。 本研究課題において、クロトータンパク質と直接結合する、線維芽細胞増殖因子、線維芽細胞増殖因子受容体、ナトリウムカリウム輸送複合体について、これらの相互作用を詳しく解析した。 その結果、マウスの腎臓において、線維芽細胞増殖因子-23、線維芽細胞増殖因子受容体-1、ナトリウムカリウム輸送体ベータサブユニットはいずれも糖鎖修飾を受けており、その修飾糖鎖の末端部分にグルクロン酸が含まれていることを発見した。さらに、このグルクロン酸修飾はクロトータンパク質との相互作用を強め、これらのタンパク質に十分な生理機能を発揮させしめることを示した。 とくに、グルクロン酸糖鎖がクロトータンパク質に結合した「ホロクロトータンパク質」は、その糖鎖が結合していない「アポクロトータンパク質」にくらべて、熱力学的に安定であることを証明した。 これらの研究結果は、クロトータンパク質とこれらのタンパク質との結合は、以前提唱された【プレエグジスティングモデル】に沿う結果であった。今回の研究を通して、クロトータンパク質は新規のグルクロン酸結合レクチンであることを提唱することができた。さいごに本研究の結論として、クロトータンパク質は、このレクチンとしての機能を通じて、血液中を循環している線維芽細胞増殖因子-23を効果的に腎臓に集め、ナトリウムカリウム輸送複合体を分泌小胞から細胞表面へと効率よく輸送することができるのである。
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