2012 Fiscal Year Annual Research Report
転写因子-DNA間相互作用と転写活性化の同時測定法の確立
Project/Area Number |
23770169
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
三國 新太郎 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (40435954)
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Keywords | 生物物理 / 核酸 / 蛋白質 / 転写活性 / 相関解析 |
Research Abstract |
転写因子はDNAと結合することで遺伝情報の発現を調節している。しかし、転写因子-DNA間相互作用の「強さ」が転写活性化に与える直接的な影響に関しては未知な部分が多い。なぜなら、「転写因子-DNA間相互作用」と「転写活性化」が密接な関係にあるにもかかわらず、これらを同時に測定可能な系が存在しなかったためである。そこで、本研究では蛍光相互相関分光法(FCCS)を用い、転写因子-DNA間相互作用とそれに伴う転写活性化量を同時かつ経時的に定量可能な系の確立を目的とした。 研究期間内では系の完全な確立には至らなかったものの、本研究計画においてもっとも重要な転写因子-DNA間相互作用の定量化に必要なマテリアルとして、転写因子のグルココルチコイド受容体(Glucocorticoid Receptor:GR)のEGFP融合体(EGFP-GR)を昆虫細胞から単離・精製する方法を確立した。そして、精製したEGFP-GRとAlexa647ラベルされたGR認識配列(Glucocorticoid Response Element:GRE)の相互作用をFCCSを用いて定量化し、解離定数630 nMを算出するに至った。また、精製したEGFP-GRの配列特異性を確認するためにGREに変異を導入した数種類の配列との比較を行ったところ、FCCSを用いることで、GRE内の一塩基変異の差異を解離定数の違いとして認識できることが確認された。 さらに、転写活性化量の定量化に必要なマテリアルとして赤色蛍光タンパク質融合RNA特異的結合タンパク質(mCherry-MS2CP)を大腸菌から単離・精製する方法を確立した。精製したmCherry-MS2CPのRNA結合はAlexa488ラベルされた合成RNA(20 base)との相互作用をFCCSを用いて定量化し、解離定数143 nMを算出するに至った。
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