2012 Fiscal Year Annual Research Report
単一細胞分泌サイトカインのリアルタイム定量法による免疫システム理解への挑戦
Project/Area Number |
23770189
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
白崎 善隆 独立行政法人理化学研究所, 免疫ゲノミクス研究グループ, 研究員 (70469948)
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Keywords | 単一細胞解析 / イムノアッセイ / 分泌測定 / マイクロウェル / CYTOP |
Research Abstract |
本プロジェクトで用いた技術の特徴は、蛍光イムノアッセイと全反射顕微鏡観察法を組み合わせることで、細胞から分泌される微量のタンパク質をリアルタイムに検知することである。本プロジェクトでは、水と同等の屈折率を有し、光学特性も優れているアモルファスフルオロポリマーであるCYTOPをウェル材質として採用したマイクロウェルを用い、マウス肥満細胞株であるMC/9のホルボールエステルによる活性化状態下において、CCL2やIL-6といったサイトカインが異なった遅延時間を有して分泌されることを見出した。また、細胞に対する影響が少ないことが知られているPDMS製のマイクロウェルにおいてヒト単球細胞に擬似感染刺激を添加し、IL-1β分泌の様相について詳しく観察を行った。この際、顕微鏡を用いた検出法である利点を生かし、細胞の形態観察および蛍光性細胞状態指示薬の同時観察を行った。結果、単球からの分泌には2種類の状態が存在し、弱く細胞周辺に分泌されるものと、細胞の変形を伴う強い分泌が確認された。さらに、この強い分泌について、細胞死の指標のひとつである細胞膜完全性の損失とIL-1β分泌との相関を調べた。結果、IL-1β分泌は細胞膜完全性の損失に数分~数十分の遅れを伴い分泌されていることが確認された。 一方で、当初目的としていたmRNAの単一細胞レベルでの解析については、網羅的解析までには至ることができなかったが、目的の細胞をひとつずつマイクロマニピュレータで回収し、48種のターゲットmRNAについて定量PCRを行う方法を確立した。また、さらに個々の細胞のターゲット遺伝子の配列を1アリル精度で解読する方法を確立した。 本プロジェクトで確立したサイトカインなどの可溶性タンパク質のリアルタイム分泌測定法は、単一細胞レベルでの遺伝子発現を解析するための有用なツールとして更なる発展的開発を進めていく予定である。
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Research Products
(4 results)