2012 Fiscal Year Research-status Report
溶媒クエンチ法と蛋白質工学の融合による巨大蛋白質複合体の構造揺らぎ解析
Project/Area Number |
23770194
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
真壁 幸樹 山形大学, 理工学研究科, 准教授 (20508072)
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Keywords | 構造揺らぎ / タンパク質 / 水素重水素交換 |
Research Abstract |
本研究ではGroEL/ESの構造揺らぎを明らかにするために、タンパク質ライゲーションと溶媒クエンチNMR法を用いて測定を行う。 本年度は、昨年度に行ったTROSY-NMR法によるGroESの水素/重水素交換反応の結果と溶媒クエンチNMR法による水素/重水素交換反応の反応を解析した結果を論文としてまとめた。さらに、GroELの頂上ドメインを単独で大腸菌組み替え体として作製し、大量に調整可能であることを見いだした。GroELの頂上ドメインは以前に他のグループがNMRシグナルの帰属を完了させているために、迅速にNMRを用いた研究を行うことが出来る。窒素15でラベルしたGroEL頂上ドメインを用いて、水素交換反応を行う条件を検討した。 また、シャペロンGroEL/ESの基質タンパク質であるαラクトアルブミンのN末端のアミノ酸配列が構造形成にどのような役割を持つかについて、N末端の変異体の結晶構造から解明を目指した。決定した立体構造から詳細な安定化機構を検討した。結晶構造から、真性体においてN 末端のN 原子がT38 と形成していた水素結合が、組み替え体では壊れていることが分かった。これはメチオニンの付加によって1残基目のN原子がT38 付近のポケットに位置できなくなったためである。しかし、N 末端の欠損によってHLA-K1M とGLA-E1M は真性体と同様なT38への水素結合が形成していた。加えてautHLA とrecHLA の平衡下における分子動力学計算をそれぞれ5 ns 行った。結果、recHLA ではN 末端部位が大きく揺らいでおり、水素結合が過渡的にしか形成していないことが明らかになった。以上から真性体と同じ水素結合ネットワークを形成していることが、HLA-K1NやGLA-E1M の安定性に大きく寄与していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
GroESの構造揺らぎについて研究成果を論文としてまとめた。またGroEL/ESの基質タンパク質であるαラクトアルブミンのN末端残基がどのように安定化に寄与するかについて結晶構造解析から明らかにし論文として報告した。
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Strategy for Future Research Activity |
現在進めている、GroEL頂上ドメインの構造揺らぎ測定を完了させるために、水素重水素交換反応の実験を進める。これまで測定に用いていたNMR装置は分子科学研究所から、東京大学へ移設されたため、装置の立ち上がり状況を踏まえつつ実験を進める。 GroEL全体の水素交換反応は分子量が巨大であるため困難で有り、タンパク質ライゲーション法を用いてドメイン特異的に同位体標識を行うベクターの構築を目指す。インテイン融合ベクターはIwaiらが構築したスプリットインテイン発現ベクター(pSKDUet01, pSKBAD2)をAddgeneから入手済みで有り、それらを用いる。培養方法を検討し良好にライゲーション反応が起こる条件を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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