2013 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白質機能可視化のための高精細静電ポテンシャルイメージング法構築
Project/Area Number |
23770195
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Research Institution | Japan Synchrotron Radiation Research Institute |
Principal Investigator |
水野 伸宏 公益財団法人高輝度光科学研究センター, 利用研究促進部門, 研究員 (90378844)
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Keywords | タンパク質X線結晶解析 |
Research Abstract |
本研究では、低角回折データを用いた精密電子密度の解析手法の開発を目的に研究を行ってきた。今年度は、実際に昨年度までに開発した低角データ取得用Heチャンバーと多軸ゴニオを使用した低角精密回折データの取得実験を行った。結果的に標準結晶であるリゾチーム及びサーモリシンを用いた測定において、これまで数十Åまでのデータ取得範囲だったものが300Å程度までの低角回折データをバックグラウンドノイズを低く測定できる環境であることを確認し、十分解析可能であることも確認した。また、溶媒領域の電子密度を変化させる手法についても、重原子錯体を用いた溶液の作成手法を簡易にする条件を探索し、ある程度条件を絞り込めたが、結晶へ導入した際に、局所的に配位してしまい、溶媒領域の電子密度を平均的に変化させることはできなかった。そこで、高圧重原子ガスを用いた密度変化手法の開発を行い、Fine-needleキャピラリーによる高圧ガス凍結装置を開発し、Xeによる重原子導入が可能であることを明らかにした。この手法については、アジア国際結晶学会において口頭で発表を行った。現在は、この手法を用いた溶媒電子密度変化手法の開発を進めている。最終的な溶媒領域の電子密度の可視化という目標までは達成できなかったものの、それに向けた回折データ取得方法の開発はほぼ完了し、データの解析を進めていくことが今後の課題であり、この手法を用いることで、電子密度、特に溶媒近傍領域の電子密度の改善を行うことを検証していく。
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