2011 Fiscal Year Research-status Report
遺伝子導入と翻訳部位・時期の可視化による翻訳制御機構の解析
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23770196
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小谷 友也 北海道大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (70419852)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 卵母細胞 / 卵成熟 / 翻訳 / サイクリンB1 / コード領域 / 局在 / 翻訳時期 / シス因子 |
Research Abstract |
遺伝子機能を正確に制御するために翻訳は最も重要な役割を持つが、技術の欠如からその解析は非常に困難な状況である。我々は、翻訳機構を核内の転写から再現し、なおかつリアルタイムで翻訳の活性化を可視化する画期的な技術を独自に確立してきた。ゼブラフィッシュ卵母細胞において、サイクリンB1 mRNAは動物極の細胞質に局在し、翻訳抑制を受ける。卵母細胞が受精可能な成熟卵となるには、この動物極に局在するサイクリンB1 mRNAが時期・部位特異的に翻訳されることが重要である。我々は、独自に確立した解析法を用い、サイクリンB1の翻訳時期と部位をリアルタイムで可視化することに成功し、さらにRNA配列における非翻訳領域のみでなく、コード領域がその翻訳機構に重要であることを見いだした。本研究で我々は、コード領域に存在する、翻訳機構に重要なシス配列の同定を試みた。サイクリンB1遺伝子のコード領域1197塩基を断片化したレポーター遺伝子をゼブラフィッシュゲノムに挿入し、卵母細胞で発現したそれぞれのレポーターmRNAの局在と翻訳時期を解析した結果、524~736塩基の間に動物極への局在と翻訳時期の再現に必要な配列が存在することが明らかとなった。この領域には、ショウジョウバエからヒトにいたるすべてのサイクリンB1遺伝子に完全に保存された9塩基の配列が存在した。この9塩基のうち3塩基に変異を入れたレポーターmRNAの局在と翻訳時期を解析した結果、動物極への局在、翻訳時期のいずれも再現されなかった。すなわち、コード領域に存在する、進化において完全に保存された9塩基の配列がサイクリンB1 mRNAの正確な翻訳制御に必須であることが示された。この結果は、mRNAの局在化と翻訳時期の制御が一つのシス因子によってリンクすることを初めて示したものであり、RNA翻訳の研究分野において非常に重要な知見をもたらしたと言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々は、mRNAのコード領域が翻訳制御に関わるという新たな分子機構を見いだしてきた。本研究では、コード領域約1200塩基において、この新規分子機構の中核となる9塩基の同定に成功した。さらに、この配列が卵母細胞における局在と翻訳機構の両方に関わることを明確に示した。これらは、我々が独自に確立した解析法を用いることで初めて解明できた画期的な成果である。なおかつ、本研究は、新規解析法が従来よりはるかに迅速かつ効率的に翻訳機構を解明できることを示した。サイクリンB1 mRNAの可視化に成功していないため、上記の評価となった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で我々は、サイクリンB1遺伝子のコード領域における9塩基がmRNAの局在と翻訳制御の再現に必須であることを明らかにした。今後は、この9塩基に対するトランス因子を同定し、局在と翻訳制御に関わる新規分子機構の解明を目指す。さらに、サイクリンB1 mRNAを可視化し、翻訳の活性化で起こる変化をリアルタイムで解析し、その実態解明に迫る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
経費の節約の結果生じた使用残について、平成24年度の物品購入に使用する。
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Research Products
(4 results)