2011 Fiscal Year Research-status Report
mRNA品質管理機構における翻訳アレストと異常タンパク質分解機構の解析
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23770198
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
黒羽 一誠 東北大学, 薬学研究科(研究院), 研究支援者 (50580015)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 品質管理機構 / mRNA分解 / タンパク質分解 |
Research Abstract |
異常mRNAにより生じた異常タンパク質は、正常なタンパク質の発現量や活性の低下を介して、様々な悪影響を細胞にもたらす可能性がある。そのため、細胞は遺伝子発現の正確性を保証する品質管理機構を保持している。これまで我々は、1)終止コドンを欠失したmRNA(ノンストップmRNA)と、2)ナンセンス変異を保持するmRNAの解析を通じて、mRNA分解に加え、 翻訳アレストと異常タンパク質の分解促進が、異常mRNAの発現抑制機構に重要な役割を果たすことを明らかにした。本研究は、2つの異常mRNAの翻訳異常の認識機構と異常タンパク質の分解促進機構について、詳細な分子メカニズムを明らかにすることを目的として解析を行った。 ノンストップmRNA発現抑制機構の解析により、翻訳伸長の停滞に伴うmRNA分子内切断(No-Go decay)の必須因子であるDom34:Hbs1が、mRNAの3’末端に停滞したリボソームを解離させることによって、エキソソームによる3’末端からのノンストップmRNAの分解を促進することを明らかにした(Mol.Cell 2012)。 ナンセンスmRNA発現抑制機構の解析により、異常タンパク質は野生株においてユビキチン化を受けているが、ユビキチン化産物の分解はUpf1により促進されていないことを明らかにした。また、フォールディング異常を示すVHLタンパク質の分解が、Upf1と長い3’UTRに依存して促進されることが明らかとなった。これらの結果は、Upf1が異常タンパク質のフォールディング異常を認識し、ユビキチン化を介した経路とは別に、ユビキチン化非依存的な方法で異常タンパク質の分解を促進していることを示唆している(論文作成中)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大震災の影響により研究に遅れが生じた。しかし、ノンストップmRNA発現抑制機構の解析においては、翻訳伸長の停滞に伴うmRNA分子内切断(No-Go decay)の必須因子であるDom34:Hbs1の細胞内における新たな機能を明らかにし、論文を発表することができた。ナンセンスmRNA発現抑制機構の解析においては、本年度の研究により新たな知見をえることができた。こちらも来年度には論文を発表できる見通しである。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の研究で大きく進展した、Upf1による異常タンパク質認識機構について中心的に解析を進める。Upf1が異常タンパク質を直接認識している可能性について検証するため、Upf1と異常タンパク質の結合をin vivoおよびin vitroで解析する。また、得られた結果をとりまとめ、国内外での成果発表と論文投稿を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究に必要な酵素試薬、培地試薬類、ガラス機器およびプラスチック製品の購入に多くの研究費を使用する予定である。また論文投稿に必要な印刷費と、国内外での成果発表のための旅費も計上する。
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Research Products
(4 results)